山梨県・リニア中央新幹線

山梨県はリニア駅と連携する空港整備の検討に着手

リニア中央新幹線の開業に向けた航空路交接の検討着手について 長崎幸太郎知事の記者会見(令和4_2022年5月26日 木曜日)
知事
 今般、新たに山梨県における航空路活用の具体化を視野に入れた検討を開始いたしますので、この場をお借りいたしまして御報告申し上げます。

本県における航空路の活用は、過去にも何度か検討が行われた経緯があります。

しかしながら、その都度都度の社会経済情勢の中で、具体化への機運と議論が熟さないまま、今日に至っております。

本県ではすでに、リニア中央新幹線の開通に伴う新しい社会・経済・県土のあり方等につきまして、「リニアやまなしビジョン」において示された方向性に沿った県内環境の整備が急ピッチで進められているところであります。

「実証実験フィールドの全国的拠点化」、いわばテストベッドの聖地化とも言っておりますが、リニア開通により、人と富が山梨に集まる「理由」作りの取り組みというものは着実な進展を見せております。

今般、このような取り組みの進展状況を踏まえまして、更に一段と、この歴史的ともいえる機運を確実に受け止め、山梨発展につなげていくためには、これまでのリニアと道路といった陸上交通に加えまして、新たに、航空路との「機能交接」、「クロスリンケージ」を構築する可能性を追求することが有益ではないかと考えるに至った次第であります。

すなわち、仮に、リニア中央新幹線駅との間で短時間でのアクセスが可能となる場所に小型旅客機やプライベートジェットの離発着が可能となる滑走路等を設置することによって、『空路と陸路との距離・機能の両面で交接するプラットフォーム』を構築することができれば、例えば、国内の他の地方空港から、東京への航空移動需要の受け皿となりうる。

このことによりまして、リニア中央新幹線の品川=甲府間の需要拡大をつくり出し、そして、リニア山梨県駅へのより高い頻度の発着の実現に寄与する効果というものが考えられないだろうか。このように思う次第であります。

コロナ禍にありましても、本県では、これまでも中部横断道など高速道路網の整備により、静岡県の清水港や富士山静岡空港といった「海と空に開かれた『開の国』、開くという意味での『開の国山梨』への実現を進め、県内資源の磨き上げと、県外からの活力取り組みを行って参りました。

リニア中央新幹線と航空路とが「山梨県内において」一体となった「次世代交通プラットフォーム」の実現は、この「開かれた山梨」をさらに国内外に向けて太く確かなものとする「豊かさ創造」に極めて有効な社会環境たりうるものと展望する次第であります。

このような観点から、本県はリニア中央新幹線の開通に向けた、航空路交接の技術的、或いは社会的可能性を模索するべく、研究会を立ち上げて参りたいと考えております。

このメンバーには、地元経済界や地元関係者などの県内有識者をはじめといたしまして、県外からも航空技術の専門家などにもご参加をいただき、技術面はもとより、本県の自然環境・生活環境、或いは県内外への社会・経済に及ぼす影響など、様々な角度からあらゆる可能性、課題等を研究・検討して参りたいと思います。

更には、来たるべきリニア中央新幹線の全線又は部分的開業に当たりまして、航空路がいかにしてその効果拡大に寄与することができるのか、段階的、発展的に、研究と評価を蓄積していきたいと考えております。

本日私から申し上げるべきは、以上であります。
記者  まず最初に、飛行場の航空路交接のことをお伺いします。ちょっと耳なれない言葉ですけれども、要は県内に滑走路を建設することを検討するということでよろしいでしょうか。
知事  その通りです。
記者  それは、今、小型とおっしゃりましたが、ジャンボが今あるのかどうかわからないのですが、ジェット機が飛ぶようなのじゃないけれども、何かそのような大きなものでしょうか。
知事
 大体48人乗り程度の小型ジェット、或いはプライベートジェット機の離発着が可能となる滑走路を考えております。
記者  それと、それは航空会社による定期便のもそこを離発着するっていうことを想定しているのでしょうか。
知事
 十分あり得ると思います。今、羽田空港は小型ジェットの離発着が制限されています。ちょっと確認をしますが、確か乗客100人以下の小型のものは停まれないで基本的に制限されているということなのですが、他方において近距離の航空路線というのはやはり需要があり得るわけなのですが、これが羽田との間でなかなか結びつかない。であれば例えば山梨で止まれば、リニア中央新幹線を使って、品川までわずか24分ですので、品川への到着という観点から見ると、羽田に着陸しても、例えば山梨に着陸しても、ほぼ時間的には変わらない。羽田のある意味補完的な役割というものもできるのではないだろうかと考えます。そうすることで、これまで東京との間で航空路線を作りたくてもなかなかできなかった例えば地方空港、そういうところも路線の受け皿にもなり得るのではないかと思います。br />  そうなると、ある程度の需要というものが出てきますので、私どもにとりましては、このリニア中央新幹線は全線開通した時で1時間に一本なんて話もありますけれども、これがもう少し頻度を増やせるのではないのだろうか。或いはこれから議論も出てくるであろういわゆる部分的な先行開業についても、一つ後押し材料にもなり得るのではないだろうかとこう考えている次第です。
記者  イメージとしては小型の旅客機で山梨に着陸した人が、リニアを使って品川まで行って羽田空港に乗り換えることが可能ですよということ。
知事
 東京に行くことが可能になるということと、或いは国際線に乗って外国に行くこともあり得るのでしょうね。
記者  モノレールに乗っている時間とあまり変わらないですよということ。
知事 その通りです。
記者  そうすると、滑走路を作る場所もそんなに駅から遠いのであれば困るということで、場所もごく限られてくると思いますが、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
知事
 そういうのをこれから研究していくということだと思いますが、当然リニア駅からの移動が簡便な場所でないとなかなかこの目的を達成出来ないと思います。
記者  あと航空路について伺いたいのですが、小型という役割分担、要するにそのリニアとの競合っていうことを考えるわけですけれども、小型ということはそのリニアとの競合はないというふうに考えてよいのでしょうか。
知事  むしろ補完する形だと思います。
記者  あと、その貨物輸送っていうのを、今新幹線でも少量の新鮮な物を運ぶということもやっているわけなのですけれども、将来的にはその貨物輸送ということは視野に入っているかどうか伺いたい。
知事  リニアがそういうものが対応できればそういうこともありうると思います。
記者  航空ででもあり得る。
知事  あり得るのではないかと思います。
記者  航空路の関係で、今から研究会を立ち上げるということで、リニアありきだと思いますが、リニアがいつ開業するかは、まだはっきりと見通せない部分があると思うのですが、これはリニアの開業になるべく合わせるという目標があるのか、その時期的な目安を伺いたいです。
知事
 当然リニアとセットですので、リニアの開業に合わせて、こういうものができれば理想的だろうと思います。
記者  過去にも、県内で滑走路を検討されたことがあるということですが、それがどういった経緯で実施されなかったのかということ、今回はもちろん、リニアがあるということで全然違うということなのだと思うのですが、その辺の経緯を伺えますでしょうか。
知事
 かつては、社会経済情勢が熟さないとか、採算がとれないとか、そんなような理由で、しばらく検討が一旦ストップされてきたと、このように承知をしております。
課長
 過去の検討経緯につきましては、古くは昭和63年から、まず検討しているということがございまして、あと、もう1回さらに、庁内ですけれども、検討された時期がございますが、今、知事がおっしゃられたような理由で、経済情勢を見ながら、そういう機運がある時期に、また検討しましょうというような結論になっています。
知事
 今回の議論は、それとは全く別の話で、かつては単体で考えていたのですよね。だけどそれは、採算なんか取れるわけがなくて、なかなか難しいだろうなとは思います。ただ、リニアとセットになる場合、これは全く様子が違うのだろうと私は思います。まさに先ほど申し上げたように、1つは、国内の地方空港の潜在的な需要があり得るのではないだろうかと、その受け皿に。要は、リニアがあるがゆえに、成り立ち得ると思います。これが1点。それから、こういうことを組み合わせることによって、むしろ、この山梨県が、陸路と空路の交接点となり得る可能性は十分あるわけで、そうなれば逆に、リニアに対しても、プラスの効果を及ぼし得るのだろうと、私は思う次第であります。
記者  空港の運営とか建設について、すいません、勉強不足ですけれども、これは県として、空港を建設して、例えばその運営は民間に委託するとか、どういう形になるのでしょうか。
知事  いろんなパターンがあり得ると思います。
記者  そういったことも含めて検討する。
知事  含めてです。
記者  ありがとうございました。
知事
 今後、特に今日これから夕方に、自民党の中で、リニア特命委員会というのがあって、そこで沿線の各県知事がいろいろ希望を述べながらですね、南アルプスの問題についても議論するわけですが、全線開通は、現時点においては、はっきりしないわけでありますが、さはさりながら、その場合においても、仮にこういう構想とセットで、日本全体の何というか交通体系を考えれば、例えば、出来たところからスタートさせるような運営の仕方の後押しにもなり得るのではないかと、こう考える次第です。
記者  リニアの航空路交接ですけれども、ずばり聞きますけれども、日本航空学園の滑走路は、割と使いやすいのかなと思うのですが、頭の中に入っているのでしょうか。
知事  もちろんです。
記者  わかりました。
記者  航空路の関係なのですが、今質問も含めて滑走路っていう言い方になっているかと思うのですが、これは空港を作れるかどうかと考えてよろしいですか。
知事  はい。そういうことも視野に入っています。
記者  航空路の件ですけれども、静岡に空港があって、長野にも空港があります。多分山梨に本当にできるということになれば、かなり県民も期待するのかなと思うのですが、知事が今考える実現可能性というのはどれぐらいあると見ているのでしょうか。
知事
 いろんなものを多分考えないといけないと思うのですが、ただこれは単に山梨だけの目ではなくて、全国的、要はオールジャパンの観点から考えてみたときでも、各地の地方空港の活性化策には大いになり得るだろうと思います。

また、東京のビジネス環境を考えた時でも、結果として羽田にプライベートジェットの駐機場は取れないわけですので、そういうものが、ほぼ東京都心に出てくるのと同じだけの時間で、甲府にできれば、日本の経済の中心地である東京のビジネス環境というものも大いに改善することに寄与するだろうと思いますし、また、リニア中央新幹線自体が、少なくとも東京-甲府間の価値というものも高まってくるだろうということで、JR東海にもプラスのメリットが及びうるのではないだろうかということで、いろいろな大いなるメリットがあろうかと思います。

他方で、技術的に本当にできるのかとか、それは空の管制管理の状態もそうでしょうし、それから自然災害に対する防災上の場所的な問題、そういうこともあるでしょうし、或いは一番重要なのは県民の皆さんのご理解というものもどこまで取れるんだろうか、こういう諸々の条件があるので、今、私としてはできれば多分すごいことになると、いいことになるだろうなとは思いますが、どれぐらいの可能性でできるかというのは現状わからない。従って、それを明らかにするためにも、どういう課題があるんだとか、どれぐらい多くの人のご理解を得られるんだろうかとか、こういうものも含めて、しっかりと研究をしていきたいと思います。

全線開通が、もしリニアがした暁にはですね、ここがある意味本当に夢だけを語ってしまえば、地方空港間のある意味ハブ的な受け皿になれば、例えば東京-甲府駅が東海道新幹線で言えば新横浜みたいな位置付けになって、そうなれば、この山梨、甲府盆地に対する更なる様々な投資というものも期待できるのだろうと、いろんな仕事もできてくるだろうと、こう考えるわけですが、いずれにしてもそこに向けての、まずは課題というものは一体何があるのだろうかということを、この研究会で明らかにしていきたいと思います。

長崎幸太郎知事・2022年5月26日 定例記者会見(暫定発表から部分引用です。記者との質疑応答は正式発表で。)
③ リニア山梨県駅と航空路の交接に向けた検討に着手 ―リニア開業効果を最大化
 知事は会見で、リニア駅と近接する場所で小型旅客機やプライベートジェットの離発着を可能とすることについて検討すると表明した。
 実現すれば、東京への航空移動需要の取り込みや、リニアの品川−甲府間の需要拡大、山梨県駅発着本数増などが期待でき、リニア開業の効果をさらに拡大することが期待される。
 現在羽田空港では小型旅客機やプライベートジェットの離発着に制約があることや、品川までの所要時間は羽田空港からとリニア山梨県駅から同程度であることなどから、リニア開業が近づく今、検討する価値は十分にあるとしている。
 知事は「道路網の整備など、これまでも「開の国山梨」の実現を図ってきたが、航空路も一体となったプラットフォームを実現すれば、本県の「豊かさ創造」に極めて有益である」と、期待を語った。
 まずは、有識者や専門家による研究会を立ち上げ、技術面や環境面、社会経済への影響などを研究し、可能性を模索していく。
以上が山梨県の「3分でわかる知事会見」で掲載された内容です。
この件について報じた記事がありましたので、以下に引用します。
2022.05.27 「リニア駅近くに空港」県が可能性を検討(朝日新聞 2022年5月27日)
 山梨県の長崎幸太郎知事は26日、リニア中央新幹線の山梨県駅の近くに空港を設置できないか、可能性を探る研究会を設けることを明らかにした。リニアが開通すれば山梨と東京が25分で結ばれることから、「小型旅客機の離着陸が可能な滑走路を設置することによって、国内の他の地方空港から東京への移動需要の受け皿となりうる」というアイデアを披露した。
 県によると、県内に空港を整備する構想は何度か検討されたが、実現しなかった経緯がある。長崎知事は「かつては(空港)単体で考えていた。それでは採算をとるのは難しい。リニアとセットになればまったく違う」との考えを示した。山梨から東京・品川にリニアで移動する時間は、羽田空港から品川に移動する時間とさほど変わらないと説明し、「羽田空港の補完的役割になる。1時間に1本と言われるリニアの県駅停車を増やせるのではないか。(東京―山梨の)先行開業の後押しにもなる」と語った。
 県が設ける研究会には県内経済界の関係者や航空技術の専門家などを迎え、技術面だけでなく、自然環境や生活、社会経済への影響などを多角的に研究、検討するとしている。(吉沢龍彦)
2022.05.26 リニア駅周辺に空港整備構想 部分開業「後押し材料」―山梨知事(時事ドットコム 2022年05月26日 17時18分)
 山梨県の長崎幸太郎知事は26日の記者会見で、県内に設置されるリニア中央新幹線の新駅周辺に空港を整備する構想を表明した。リニアをめぐっては静岡工区での着工が見通せず、JR東海が目指す2027年の品川―名古屋間の開業は困難となっている。長崎氏は空港整備について、「部分的な先行開業を後押しする材料になり得るのではないか」と述べた。
2022.05.26 山梨県、空港新設に向け検討開始 リニアと連携(産経新聞 2022/5/26 18:19)
 山梨県の長崎幸太郎知事は26日の定例記者会見で、県内での空港整備に向けて検討を始めると明らかにした。JR東海が建設中のリニア中央新幹線は、令和9(2027)年の開業が危ぶまれているものの、甲府市内に建設予定の山梨県新駅と東京・品川駅は最短24分で結ばれる。県は、リニアによる東京都心とのアクセスのよさを生かし、小型旅客機を受け入れる空港とすることで、航空と鉄道の高度の連携を模索している。
 県は今後、航空や交通分野の専門家らが加わった研究会を組織し、事業の可能性や課題面を探る。空港はリニアの新駅近くに整備し、プライベートジェットの利用や、48人乗り以下の小型機などの離着陸を想定。航空会社の定期便も受け入れていく。
 県内では過去にも空港整備の検討が進められてきたが、採算面などで進まなかった。県は今回、リニアを生かした新しい形態での空港として、将来性があるとみている。
 長崎氏は、南アルプスを通る静岡工区の未着工問題で品川-名古屋の開業時期が見通せない中、空港整備による航空路線との連携が、品川-甲府の部分先行開業にもつながるとしている。
2022.05.26 48人乗り程度の小型機など想定 「滑走路建設の検討始める」山梨県の知事が発表 リニア開業を見据える(UTYテレビ山梨 2022年5月26日 19:00)
リニア中央新幹線の開業を見据え山梨県の長崎知事は5月26日、県内に滑走路の建設の検討を始めると発表しました。
空港の建設も視野に県内で陸路と空路両方の交通連携を図りたい考えです。

山梨県 長崎幸太郎知事:
 山梨県における航空路活用の具体化を視野に入れた検討を開始いたします。

長崎知事は26日の会見でこのように述べ、県内に48人乗り程度の小型旅客機やプライベートジェットの離着陸ができる滑走路の建設について検討を始めると明らかにしました。
リニア中央新幹線の開通を見据えたもので、リニア山梨県駅とアクセスしやすい場所に滑走路を造ることで、県内で陸路と空路の連携を図りたいとしています。
今後、経済団体や有識者などでつくる研究会を立ち上げ、空港の建設やすでにある日本航空高校の滑走路の活用なども含め場所や規模などを検討します。

長崎知事:
 リニア中央新幹線を使って品川まで24分。品川への到着という観点から見ると羽田へ着陸しても山梨に着陸してもほぼ変わらない。羽田の補完的な役割もできるのではないか。

県によりますと混雑する羽田空港は小型機の離着陸の受け入れが難しいということで、東京までの航空路線を作りたかった地方路線の受け皿にもなるとしました。
そして甲府―品川間のリニアの先行開業にも期待をにじませました。

長崎知事:
 「部分的な先行開業」についても後押し材料になるのではないか。

県によりますと滑走路の建設は過去にも検討されてきたものの具体化しなかったということですが、長崎知事は今回はリニア開通を見据えたもので山梨の発展につなげられるとしています。
今回の長崎知事ご提案については、有識者・専門家による研究会で明確な結論に至ると思います。私としてはリニア中央新幹線と連携するような小さな地域空港の構想に唖然とします。
山梨県内の交通事情を再確認すれば、県民の為になすべき事が膨大であることは理解できるでしょう。