リニア中央新幹線 ストップ・リニア!訴訟

訴状 第6章
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第6章 結び

1 第4章、第5章で指摘したとおり、中央新幹線には様々な問題がある。とりわけ、交通手段としての安全性の問題、巨大な建設工事およひ列車走行に伴う環境ヘの影響・公害の問題が大きい。

2 リニア方式によって時速 500km 以上で走行し、品川・名古屋間 286km を 40分 で結ぶ。軌道の 86% が地下 40m 以深を多く含むトンネル構造である。前述(第4章第4)したとおり、このような軌道や走行の安全性に対する不安・危険性はきわめて大きい。わが国では、大きな地震が発生する可能性が高く、また何らかの原因でトンネル内・列車内で火災が発生するおそれもある。このような危険な事態を当然想定しなければならない。

3 中央新幹線の建設・走行については、前述(第5章)したとおり、沿線住民や利用者に対してきわめて多くの深刻な被害を発生させる危険性が大きい。それは、電磁波の曝露による小児白血病をはじめとする癌の発症率の上昇という人命・身体にかかわる被害、騒音・振動・微気圧波・低周波音による人体・生活ヘの悪影響、ウラン鉱床の存在による危険性、大規模な建設工事や地下軌道・高架軌道の存在による様々な生活環境・自然環境の破壊といった重大な被害の発生が明らかである。
 そして、これらに対するJR東海の評価書は、前述(第5章)したとおり、内容が極めて不十分であるうえ、山梨実験線でのデータを開示しないなど極めて不誠実なものであって、国交大臣の本件認可処分判断の前提である評価書として法的要件を充たしていない。

4 このような状況下で、中央新幹線の建設を強行しようとすることは、社会的合理性に欠けるといわなければならない。時速 500km で、品川・名古屋間 40分 に一体どのような社会的必要性があるのか。それは、社会的必要性に欠けるだけでなく、社会や人間のあり方を破壊しかねない大きな問題である。

5 以上のとおり、国交大臣による本件工事実施計画の認可処分は、全幹法1条・3条、 鉄道法5条1項、環境影響評価法33条に反する違法なものであるので、その取り消しを求める。

以上