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衆議院国土交通委員会 質疑応答 2016年3月30日

衆議院会議録から抜粋して転載(敬称略)(数字はアラビア数字に変換、年月日は西暦を付記)

第190回国会 国土交通委員会 第4号(平成28年3月30日(水曜日))

委員長 谷 公一
国土交通大臣 石井啓一
政府参考人(文部科学省研究開発局長)田中正朗
政府参考人(原子力規制庁次長)荻野 徹
政府参考人(国土交通省鉄道局長)藤田耕三
政府参考人(消費者庁審議官)井内正敏

質問者 委員 本村伸子(日本共産党)
○谷委員長 次に、本村伸子君。
【ウラン鉱床の存在について】
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子と申します。
 リニア問題について質問をさせていただきます。

 私は、名古屋から品川まで、リニア沿線七都県を訪ねてまいりました。沿線住民の皆さんから、静かに暮らしているのに、その暮らし、生活が壊されることや環境が壊される、このことに対して悲痛な声や切実な声が各地で上がっております。

 きょうは、その中でも、岐阜県のウラン鉱床の問題について伺いたいというふうに思います。

 まず国土交通省に伺いますけれども、リニアルート近くにウラン鉱床がある、このことを確認したいと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
 JR東海が作成した環境影響評価書におきましては、リニア中央新幹線の沿線においては、岐阜県の東濃地域にウラン鉱床があることが示されております。
 この鉱床は、旧動力炉・核燃料開発事業団が実施した調査により把握されたものでございます。リニア中央新幹線のルートは把握されたウラン鉱床を回避して設定されておりますけれども、その沿線にはウラン鉱床があるということでございます。
【調査について】
○本村(伸)委員
 リニアの環境影響評価の準備書に対する岐阜県の知事意見では、ウラン含有土壌に関しては次のような措置を講ずることということで、文献調査で把握をしたものとは別に、「事前のボーリング調査等においてウラン含有土壌の存在を含む地質の状況把握を」と書かれております。
 そこで伺いますけれども、環境影響評価書が出される前に、JR東海はリニアルートの放射線量をはかるボーリング調査は行っているのでしょうか。
○藤田政府参考人
 JR東海が作成しました環境影響評価準備書に対しまして、平成26-2014年3月に岐阜県知事意見が出されております。

 その中では、文献調査で把握した計画路線上のウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域にあっては、事前のボーリング調査等におけるウラン含有土壌の存在を含む地質の状況把握を行い、工事計画を定めることといったことが示されております。

 この知事意見を勘案した環境影響評価書は、平成26-2014年4月に作成されました。JR東海によれば、この間に、ウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域においてボーリング調査は行われていません。
○本村(伸)委員
 JR東海は、アセスで、岐阜県内37本のボーリングを国鉄時代、そしてJR時代にやっているというふうに出しておりますけれども、この出てきた土壌について、ゲルマニウム半導体検出器ですとかウラン分析法などによって何が含有されているのかということをはかっているのでしょうか。
○藤田政府参考人
 まず、ボーリングの状況でございますけれども、環境影響評価書の作成以後、JR東海におきましては、ウラン鉱床と地質が類似した箇所で平成27-2015年度後半にボーリング調査を実施しております。それから、ウラン鉱床に比較的近い地域でも、今後ボーリング調査を予定しているというふうに承知をしております。
 そのボーリング調査によりまして、放射線量やウラン濃度を測定しているということでございます。ウラン濃度を測定する手法として、ウラン分析法を用いてウラン濃度を測定しているというふうに承知しております。
○本村(伸)委員
 アセスの評価書の後、ボーリングをやっているというお話でしたけれども、今何本やっているのか、今後何本やる計画なのかということと、ゲルマニウム半導体検出器とかウラン分析法によって何が含有されているのかということをはかって、ちゃんとそれは公表されるのかということを確認したいと思います。
○藤田政府参考人
 補正後の評価書の公告が26-2014年8月になされておりますけれども、それ以降、すなわち27-2015年度後半と申し上げましたけれども、その時期にボーリングが1本行われているというふうに承知をしております。その結果につきましては、現在、ウラン分析法を用いてウラン濃度を測定、分析しているところというふうに承知をしております。
 JR東海におきましては、環境影響評価書に示されているように、放射線量やウラン濃度を含む地質の状況把握の結果につきましては、県及び関係市町に報告するとともに、関係する地域における工事説明会等において地元の方々に御説明していくと聞いております。
○本村(伸)委員
 結局、今現在、ボーリングをしている最中だ、それで分析をする最中ということだというふうに思うんですけれども、これでどうして今の段階で安全だというふうに言えるのかということを私は思うわけです。

 リニアルート近くにはウラン鉱床があって、非常口あたりにも住民の皆さんが住んでおられまして、そこから土砂を搬出するということもありまして、住民の皆さんが本当に大変心配をされている。トンネルを掘る、働く皆さんの健康と命の問題でもあるというふうに思います。

 JR東海が放射線量をはかるボーリング調査をアセスのときにはやっていないということだというふうに思いますけれども、それはそもそも、丁寧な説明ですとか、あるいは住民の皆さんの理解と納得の前提がないということだというふうに思うんです。

 環境アセスは事業者がやらなければいけないということになっているわけですけれども、こういうこともやられていないアセスのやり方そのものがおかしいと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣
 リニア中央新幹線の環境影響評価は、JR東海によりまして、平成23-2011年から26-2014年にかけて実施をされました。当時の環境影響評価法では、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染については適用しない旨が規定をされておりました。したがって、放射性物質に関する現地調査は、この環境影響評価の中では行われておりません。

 一方、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けまして、環境影響評価法が改正されまして、放射性物質に関しては適用しない旨の規定は削除されました。これにより、現在は、放射性物質が相当程度拡散、流出されるおそれがある場合には、放射線の量も測定されることとなったものと認識をしております。

 なお、JR東海は、この東濃地域において旧動燃により実施された調査結果を確認するため、環境影響評価とは別に放射線量の計測を行ったということでございます。
○本村(伸)委員
 環境省に伺いたいというふうに思いますけれども、追加被曝線量の問題で、年間1ミリシーベルトという数値には根拠がないと環境大臣が言明をされ、そのことが大問題になりましたけれども、この追加被曝線量年間1ミリシーベルト以下にしようという根拠をお示しいただきたいと思います。
○荻野政府参考人 お答え申し上げます。
 国際放射線防護委員会、ICRPの勧告についてのお尋ねがございました。

 ICRPは、原子力施設の運用等による追加的な公衆被曝の実効線量限度を年間1ミリシーベルトと勧告をしております。すなわち、自然環境中に存在する天然ウラン鉱石による被曝については、本線量限度の適用対象外とはしております。

 ICRPの文書等によりますと、その根拠といたしましては、変動しやすいラドンによる被曝を除けば自然放射線源からの年実効線量は約1ミリシーベルトであるということから、本勧告が発出されたということでございます。
○本村(伸)委員
 やはり、健康や命を考えれば、追加被曝線量がないことが一番いいわけでございます。住民の皆さんや、リニアトンネルを掘る、そういう働く皆さんが追加被曝することがないように、万全に対策をとらなければならないというふうに思います。年間1ミリシーベルトを超えるような基準でやることがないようにということも強調をしたいというふうに思います。

 JR東海は、東濃地域のウラン鉱床については、独立行政法人日本原子力研究開発機構、旧動燃からの資料収集を行い、「旧動燃は、約1400本のボーリング調査を行い、ウラン濃度を確認し、ウラン鉱床の位置を把握している。計画路線はウラン鉱床を回避している」というふうに言っております。

 資料の1ページ目を見ていただきたいんですけれども、ここでお示しをしておりますリニアルートの中で、リニアルートは点線であったり、実線の部分もあるんですけれども、その部分の四角に囲った3キロの区間は、「念のため線量計などにより掘削土の状況を把握するほか、排水中のウラン濃度や大気中のラドン濃度についても把握する。」というふうに書いてございます。

 そこで、旧動燃が調べたウラン鉱床とはということでお伺いをしたいというふうに思いますけれども、文部科学省さんにお伺いしたいと思います。

 掘削をして採算がとれる量が出るところをウラン鉱床というふうに言うと思いますけれども、ウラン鉱床の概念について正確にお示しいただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 旧動力炉・核燃料開発事業団は、国内のウラン資源調査の一環といたしまして、昭和38-1963年から昭和63-1988年の間、岐阜県の東濃地域におきましてウラン鉱床調査を実施しております。
 その際、重量比において元素が比較的凝集している0.01%以上の酸化ウランを含む場所をウラン鉱床としたところでございます。
○本村(伸)委員
 ちょっと確認したいんですけれども、一定量ないとだめということだというふうに思いますけれども、確認したいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 基本的には、動燃は、今申し上げましたように、酸化ウランの濃度に着目をいたしまして、0.01%以上の酸化ウランを含む場所をウラン鉱床と指定したところでございます。
○本村(伸)委員
 ウラン鉱床がない、回避しているということが、必ずしも、ウランや、あるいは通常よりも高い放射性物質がない、回避しているということを示すものではないというふうに今のお答えからもわかると思うんですけれども、旧動燃は、採算性のあるウラン鉱床を求めてボーリング調査をした、リニアトンネルを掘ることを想定してボーリング調査をしたわけではない、命や健康のためにボーリングをしたわけでもない。そもそも目的が違うボーリング調査をもって、約1400本掘ったから大丈夫とはとても言えないというふうに思います。

 資料の一を見ていただきたいんですけれども、この緑の粒々の部分が旧動燃が掘ったボーリング調査の場所なわけですけれども、1400本掘ったといっても、リニアルートはほとんどボーリングされていないということがわかるというふうに思います。

 この旧動燃の目的が違うボーリング調査の資料を使って、回避しているとかトンネルを掘ってもいいとなぜ言えるのか、なぜ安全だと言えるのかということをお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣
 今委員御指摘ありましたように、リニア中央新幹線が通過する予定の岐阜県東濃地域におきましては、JR東海が実施した環境影響評価書の中に示されているように、旧動燃により約1400本のボーリング調査が行われまして、当該地域の地質や鉱床分布の状況等が把握されております。

 また、JR東海は、旧動燃の調査に基づき、ウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域において既に独自にボーリングを実施しており、今後も必要な調査を行い、地質の状況を把握するということでございます。

 国土交通省としましては、このような取り組みが適切に実施されるようJR東海を指導してまいります。
○本村(伸)委員
 住民の皆さんには説明もちゃんとされていないわけです。住民の皆さんの不安に応えて、JR東海はほとんど何もやっていないというふうに私は思います。
 こうした健康や命にかかわることはいいかげんにして、その一方で、リニア工事に着手したんだと大々的に報道して、南アルプスの方は穴をあけるんだ、こんな進め方で本当にいいと大臣はお考えでしょうか。
【発生土について】
○石井国務大臣
 JR東海は、平成26-2014年8月の環境影響評価書の中で、ウラン濃度が高い発生土が判明した場合については、県及び関係市町に報告するとともに公表する、対応方法等の詳細については専門家の意見を踏まえながら検討を進めていく、その内容については工事説明会において地元の方々にも説明するなどとされております。
 JR東海によれば、ウラン濃度の高い発生土等が判明した場合の対応方法については既に専門家からの意見聴取を開始したということでございますので、国土交通省としましては、環境影響評価書の中で示された取り組みが適切に実施されるよう、すなわち、リニア工事に伴う放射線に対する安全対策がきちんと適切に実施されるようにJR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員
 そもそも通常よりも高い放射性物質が出てきた場合、あるいは、放射性物質であるんですけれども気体のラドンも問題でありまして、この高いラドン濃度がある場合に何法に基づいて対応するのか。どのくらいの線量の残土が出てきたら、あるいはどのくらいのラドン濃度で対応をとるのか、お示しいただきたいと思います。
○藤田政府参考人
 これにつきましては、国土交通省といたしまして、原子力規制庁の方に照会をいたしました。

 原子力規制庁によれば、ウラン鉱石等の核原料物質につきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、いわゆる原子炉等規制法でございますけれども、その法律及びこの法律の施行令に基づきまして、放射能濃度が1グラム当たり370ベクレルを超え、かつウランの3倍の量とトリウムの量との合計が900グラムを超える核原料物質を使用する場合は届け出が必要となるというふうに承知をしております。

 ラドンにつきましては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に従って取り扱われることとなりまして、関連告示におきまして、例えば、ラドン220であれば、数量が1.0掛ける10の7乗ベクレル、濃度は1.0掛ける10の4乗ベクレル以上であれば、これは1グラム当たりでございますけれども、届け出等が必要となりますが、存在状態が天然のままのラドンを取り扱う場合についてはこの法律の規制の対象外であるというふうに承知をしております。

【残土の搬出について】
○本村(伸)委員
 もう一つ確認をしたいんですけれども、通常よりも高い残土が出てきた場合はどのような対応をとるのか、残土をどのように運ぶのか、処分場所はどこになるのか。専門家の意見を踏まえてというふうに言いますけれども、その検討状況から情報公開をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○藤田政府参考人
 原子力規制庁によりますと、原子炉等規制法に規定される基準値以上の核原料物質を含むものにあっては、この法律の規定によって取り扱われるということでございます。

 具体的には、容器に封入等をしまして、放射線障害防止の効果を持った保管廃棄施設に保管廃棄することといったことがこの法律に規定されているということでございます。

 専門家の検討状況等につきましては、状況に応じまして、適切な時期に情報公開がされるものと考えております。
○本村(伸)委員 情報は公開されるんでしょうか。検討状況。
○藤田政府参考人 必要な場合には情報が公開されるように指導してまいりたいと思います。
○本村(伸)委員
 もう一つ心配なことは、ウラン鉱床で働いていた方は、坑内のラドンの濃度が高くなって、そこで内部被曝をして肺がんになるという危険性が指摘をされております。
 このことは、リニアルートのトンネル坑内で働く人たちもこのようなことになるのではないかというふうに心配をされますけれども、リニアのトンネルで働く人たちの外部被曝や内部被曝の防護、このことはどのような対策が考えられているのか、お示しいただきたいと思います。
○藤田政府参考人
 JR東海によりますと、鉱山保安法などの法律を参考にしまして、放射線が比較的高い掘削土が確認された場合などの対応方法等の詳細について、放射性物質及び地質に精通した専門家の意見を踏まえながら検討を進めているところであるというふうに聞いております。
○本村(伸)委員
 今も、トンネルじん肺で亡くなられた方の御遺族や苦しんでいる方々は、被害者全員の救済を求めて闘っておられます。そして、救済法や基金の創設を求めておられます。

 これから、品川から名古屋まで285キロ以上、トンネルが86%、こういう制度もつくらずにリニアをどんどん進めるやり方についても、働く人たちの問題でこれは大問題だというふうに思います。

 私は先日、ウラン鉱床がある岐阜県の東濃地域に行ってきたわけですけれども、岐阜県の御嵩町、土岐市、瑞浪市、ここの地表面の放射線量を住民団体の皆さんや住民の皆さんや地方議員の皆さんとはかってまいりました。その結果が資料の二になるわけですけれども、二と三を見ていただきたいと思います。はかった地点が3枚目の資料の1、2、3、4、5、6のところになりますけれども、ここの六つの地点をはかってまいりました。

 JR東海は、資料三の中にある、瑞浪市内の四角に囲ってある部分だけは線量をはかりながら掘削するというふうに言っております。しかし、3キロだけだというのは根拠がないというふうに私は思うんです。

 地表面の部分ですけれども、資料三の5の地点、つまりは、JR東海が放射線量をはかりながら掘削すると言っている3キロの部分ではかった数値よりも、資料三の1の地点、リニアルート、245キロのところではかった数値の方が高かったわけです。

 私は、数年前ですけれども、別の日に、資料三の6の地点、瑞浪市の超深地層研究所というところに行ったことがあるんですけれども、ここは、地下300メートルよりも深く穴を掘って原発の核のごみを地層処分できないかというような研究をしているところです。ここは、放射性廃棄物、核のごみは入れないということで、協定があり確約をしているわけですけれども、そこの地下に行きましたけれども、放射線量をはかる線量計を持っていったんです。

 地下に入る前は0.034マイクロシーベルトだったんですけれども、地下に入ったら0.206マイクロシーベルトということで、地下に入ったら6倍も放射線量が高くなったわけです。ですから、地表面の数値だけでは地下の数値ははかれないということは、このことからも実感をしてまいりました。

 また、資料の三の四角い赤い部分の3キロのところだけ、はかりながら掘削する言っているんですけれども、例えば1956年に、今でいう経済産業省の産業技術総合研究所地質調査所というところが行った、岐阜県、愛知県、長野県の各地で自動車による放射能測定の調査、この報告を見てみますと、リニアルートである岐阜県の中津川や長野県の南木曽あたりでも高い放射線量が検出されたというふうに書かれております。

 今のJR東海の計画では、中津川とか南木曽とかこういう地域は放射線量を何もはからずに掘削するというふうになっているんですけれども、やはり住民の皆さんの不安に応えていくためにも、この四角に囲った瑞浪市の3キロの部分に限らず、きっちりとはかることが必要だというふうに思います。

 事前にちゃんと沿線ルートをボーリングし、放射線量をはかり、どんな放射性物質が含まれているのかをちゃんと調べるべきだというふうに思いますし、掘削箇所の湧水とか発生土の置き場の流出水を含めてウラン濃度はどうなるのかということや、放出されるラドンの濃度はどうなるかとか、地下にラドンがたまっているような場所がないかなどもしっかりと調査をして情報公開をするべきだと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣
 今委員が御指摘された約3キロメートルの区間とは、東濃地域のウラン鉱床と地質が類似している地域を指していると思います。

 JR東海は、環境影響評価書の中で、ウラン鉱床に比較的近い地域や地質が類似している地域においてボーリング調査等により地質の状況を把握し、その結果については、岐阜県及び関係市町に報告するとともに、関係する地区における工事説明会等において地元の方々に説明していくとしております。

 このように、JR東海は、知事意見も踏まえまして、地質が類似している約3キロメートルの区間以外でも、ウラン鉱床に比較的近く、放射線量の高い掘削土が発生する可能性のある区域について地質等の状況を把握する取り組みを行い、地元に説明することとしております。

 国土交通省といたしましては、このような取り組みについて、地元住民への丁寧な説明を通じて地域の理解と協力を得ながら進められるようJR東海を指導監督してまいります。
【調査地域を確認】
○本村(伸)委員
 ちょっと大臣に確認したいんですけれども、今の御答弁は、3キロ以外のルートの部分で放射線量と放射性物質をはかるんだ、ボーリング調査をするんだ、ラドンの調査もするんだ、情報公開もするんだということでよろしいでしょうか。イエスかノーでお願いします。
○石井国務大臣
 知事意見も踏まえて、JR東海においては、約3キロの区間以外でも、ウラン鉱床に比較的近く、放射線量の高い掘削土が発生する可能性のある区域について地質等の状況を把握する取り組みを行い、地元に説明することとしております。
○本村(伸)委員
 ウラン鉱床に近いというのは、どこまでを言うんでしょうか。中津川や南木曽も含まれるんでしょうか。
○石井国務大臣 詳細については承知をしておりません。
○本村(伸)委員
 放射性物質や有害物質が出てきた場合の問題なんですけれども、JR東海が本当に正直に報告してくれるのかも心配になるわけでございます。

 2月22日に、JR東海から、リニア中央新幹線建設工事に先立ち行った地下水調査において環境基準を超える鉛が検出されたにもかかわらず、岐阜県に報告していなかったという問題が明らかになりました。

 この問題について、概要の説明を端的にお願いしたいと思います。
○藤田政府参考人

 本(2016)年2月22日に岐阜県が公表した資料によりますと、同日、2月22日に、JR東海から、リニア中央新幹線建設工事に先立って行った地下水調査において、中津川市山口地区や瑞浪市日吉町地区で地下水環境基準を超える鉛が検出されたとの報告を受けた。また、JR東海が平成24-2012年から26-2014年に行った調査において、基準値超過が確認された地下水調査及び土壌調査の結果についても報告漏れがあったとの報告を受けたということでございます。

 岐阜県の要綱では、地下水調査等の結果、有害物質による汚染を新たに確認した場合は、その旨を速やかに報告することとされております。

 一方、JR東海からは、当時この要綱の存在を知らずに、その存在に気がついた本年2月、岐阜県に報告したものと聞いております。
○本村(伸)委員
 今もお話がありましたように、中津川市の山口の地内と瑞浪市の日吉町の地内で井戸水から鉛が出たわけですけれども、JR東海は、わかった時点で周りの住民の皆さんに知らせたんでしょうか。
○藤田政府参考人
 JR東海によれば、地下水調査を実施することにつきましては、実施箇所の地権者に対し、事前にどのような調査を行うか説明し、了解を得た上で調査を実施しているということでございます。

 調査結果につきましては、地権者や地元の方に対し、お問い合わせがあった場合には個別に報告を行うこととしておりますけれども、今回の箇所では事前のお問い合わせがなかったために、確認した段階では報告していないというふうに聞いております。

 なお、その後2月に、JR東海は地元の方に本件を報告したというふうに承知をしております。
○本村(伸)委員
 井戸水の中から鉛が出てきたのがわかったのが、この二つの地内では、2013年と2014年、そして2016年の1月にわかったわけですけれども、全く住民の皆さんに知らせないというのは人道上も問題だというふうに思います。鉛や水銀など、その水を飲み続けていたらどうなるのかということはわかるはずだというふうに思います。
 命にかかわる、危険だとわかっていたのに住民の皆さんにお知らせもしない、これは大問題だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
【国土交通省によるJR東海の指導監督】
○石井国務大臣
 環境調査におきまして、調査結果が環境基準値を超過していることを確認した場合は、地元に対する報告の義務づけがない場合においても、必要に応じて、その情報を沿線自治体に伝えるようにすることが望ましいと考えます。
 国土交通省としましては、このような環境調査も含めて、引き続き、JR東海に対して、地元の理解と協力を得ながら事業を進めるよう指導監督してまいります。
○本村(伸)委員
 鉛や水銀が入った水がある、地下水があるとわかっているのに報告しないというのは、やはりJR東海は何か感覚が麻痺しているのではないかというふうに恐ろしくなります。
 今回は、岐阜県に、岐阜県地下水の適正管理及び汚染対策に関する要綱があったから報告漏れということになりましたけれども、JR東海の事業で有害物質が出てきたとき、あるいは放射性物質が出てきたとき、7都県全ての自治体で本来は把握しなければいけないというふうに思うんですけれども、7都県全ての自治体の条例や要綱などどうなっているのか、国交省はつかんでおられますでしょうか。
○藤田政府参考人
 私どもとしては、現時点で承知をしておりません。
○本村(伸)委員
 リニアは今世紀最大の事業で、政府は国家プロジェクトだというふうに言っております。各都県任せではいけないというふうに思いますし、やはり、有害物質が出てきたとき、放射性物質が出てきたとき、JR東海に対して、国交省にまず報告させるようにするのが当然だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣
 リニア中央新幹線の事業における有害物質や放射性物質への対応につきましては、目的に応じた個別の関係法令に基づき、適切に措置される必要がございます。

 また、有害物質等が環境基準値を超過していることを確認した場合は、地元に対する報告の義務づけがない場合においても、必要に応じて、その情報を沿線自治体に伝えるようにすることが望ましいと考えております。

 国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線事業が、関係法令に従い、環境の保全を図りながら適切に進められるよう、JR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員
 結局、こういう有害物質が出ても、未報告、知らなかったというふうな回答をJR東海はしたわけですけれども、またこうしたことが起こり得るということだというふうに思います。
 やはり、JR東海任せでは住民の皆さんの心配は尽きないというふうに思います。とりわけ、放射性物質にかかわることや有害物質に関することは、第三者で調査をして、しっかりと報告をさせるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石井国務大臣
 有害物質や放射性物質への対応につきましては、アセス法の枠組みや目的に応じた個別の関係法令に基づき、事業主体により適切に措置される必要があります。

 また、有害物質の対応等を検討するに当たっては、必要に応じ、その分野の専門家の知見、いわゆる第三者の知見も積極的に活用することも重要と考えております。

 国土交通省としましては、JR東海に対し、関係法令に従って、環境保全に適切に配慮するよう指導してまいります。
【用地交渉について】
○本村(伸)委員
 命や健康にかかわる問題ですから、国交省として責任を果たしていただきたいというふうに思います。

 別の問題にかわりますけれども、先日、私は岐阜県の恵那市の方に行きまして、リニアルート直上のところにお住まいの皆さんからお話をお伺いしてまいりました。中心線測量をまだやっていないんですけれども、JR東海の職員が一軒一軒回ってきております。そういう中で、JR東海の職員が最初に一人で回ってきました。しかも、口約束で済ませようとして、何の承諾書などの書類もなく突然来て、住民の方が、信頼できないというふうに言っておられました。

 国交省では、2011年3月に用地交渉ハンドブックというものを発行されておりまして、そのときに、「公共用地交渉は、二人以上で行います。」というふうに書かれ、交渉従事者の一方が説明して、他方が記録するなど、トラブルの防止ですとか、そのために二人以上で行おうということが書かれております。職員が一人で一軒一軒訪ねるということはだめだと思いますけれども、その点、確認したいと思います。
○藤田政府参考人
 御指摘の用地交渉ハンドブックでは、ただいま御説明のありましたとおり、交渉従事者の一方が説明し、他方が記録する等、役割を分担したり、説明を互いに補完し合うことで、トラブル発生を防止し、適正かつ公正な公共用地交渉を担保する観点から、公共用地交渉は二人以上で行うこととされております。

 リニア中央新幹線における用地は、このハンドブックの対象としている、いわゆる公共事業に必要な用地ではございませんけれども、JR東海は当該交渉を二人以上で行う方針というふうに聞いております。

 なお、御指摘の事案につきましては、JR東海によれば、用地交渉ではなくて中心線測量のお願いに行ったというふうに聞いておりますけれども、詳細については承知をしておりません。
【消費者契約法との関係】
○本村(伸)委員 だから、先ほど中心線測量のことだと申し上げたんですけれども。

 もう一つ確認をしたいんですけれども、今度は消費者庁に伺いたいと思います。

 このJR東海の用地交渉というのは消費者契約法の対象になると思いますけれどもいかがでしょうかという点が一点、そして、契約取り消しとか無効になる事例が書かれてあるというふうに思いますけれども、その説明をお願いしたいと思います。
○井内政府参考人 お答え申し上げます。
 消費者契約法におきましては、消費者と事業者との間で締結される契約が適用対象となります。したがいまして、今回の事案である工事に係る用地買収において事業者が消費者から土地を購入する契約を締結した場合は、当該契約については消費者契約法が適用されると考えられます。

 また、消費者契約法が適用される場合とは、事業者が消費者契約の締結について消費者に勧誘をするに際し、消費者契約法に規定する勧誘を行ったことにより消費者が契約を締結したときでありまして、その場合は消費者は当該契約を取り消すことができることになります。

 一般的に申しますと、事業者が消費者に対して不実告知を行ったことにより誤認させた場合や消費者の自宅から退去しなかったことにより困惑させた場合などは、契約の取り消しがなされることがあると考えております。
○本村(伸)委員
 今御説明いただいた中身は、重要な事項について事実と違うことを言ったり、あるいは、将来変動が不確実なことを断定的に言ったり、利益になることだけ言って重要な項目について不利益になることを言わないことがあったり、帰ってほしいと言ったのに帰らなかったり、帰りたいと言ったのに帰してくれない、これはだめだということだというふうに思います。

 岐阜県恵那市のリニアルートの直上のある人のところでは、最初、JR職員の方が1人で回ってきて、1人なんて信用できないということで追い返しました。そうしたら、今度はJR東海の職員の方が4人来た。その方が、この地域はウランがあるんだ、ウランが出てきたらどうするのかという質問をされました。そうしたら、JR東海の工事課長という方が説明をされたそうなんですけれども、ウランを避けて、ルートがこのように直角に曲がるような説明をされて、ルートが直角に曲がって、これを2回やったそうなんですけれども、こういう図を空中に描いて説明をされたそうです。

 この説明は、先ほども消費者契約法の対象だということで言われたと思うんですけれども、不実告知、重要な事項について事実と違うことを言うということだと思います。JR東海がこういうことをやっている。

 リニアは直角に曲がることなんてできません。そういうでたらめな説明を、住民の方をばかにしたような説明をしている。その方は、ばかにされた、不誠実だと本当に怒っておみえになられました。現場ではJR東海の工事課長という方がこんなごまかしの説明までしているわけでございます。

 別の恵那市内の方なんですけれども、体の中にペースメーカーとは別の脊髄神経刺激装置という痛みを軽減する医療機器を埋め込んでおられます。家の直下にリニアが通る計画で、しかも、以前に聞いていたのとは違って、より浅くなって、地下17メートルのところをリニアが通る計画になっております。工事の際の機械によって、あるいはリニアが通過したときの電磁波などによって誤作動が起こるのではないかということを心配されておられます。医療機器メーカーさんに聞いても安全かどうか確認できないということで、不安に思われております。ですから、納得できないということで中心線測量も拒否をされておられます。

 このほかにも、沿線ルート各地で中心線測量やさまざまな調査、測量を拒否されていたり、あるいは、いまだに事業説明会も山梨の地域では拒否している地区がございます。

 JR東海にも、重要な事項について事実と違うことを言ったり、あるいは帰ってほしいと言ったのに帰らない、こういうしつこいやり方はだめだということは徹底していただきたいというふうに思いますし、私は、この7都県のリニアルート沿線を回ってみまして、やはり住民の皆さんの不安とか心配とか、それは本当に大きいものがあります、問題はまだまだ本当に山積しているということを痛感してまいりました。

 東京でも神奈川でも山梨でも静岡でも長野でも岐阜でも愛知でも、たくさんの問題がまだございます。JR東海の追加予算ももっとふえるだろうということを実感してまいりました。

 こういう段階で、さまざまな住民の皆さんが問題を出されている、こういう問題を解決、全く誠実に説明もしていない段階で、南アルプスの工事に着手するとか、トンネルで南アルプスに穴をあけるですとか、日本の宝に穴をあけるというのは本当にとんでもないというふうに思います。こんな段階で事業を認可した国土交通大臣の責任は重大だというふうに思います。工事をどんどん進めるやり方、立ちどまらせるべきだというふうに思います。

 事業取り消しも含め、リニア計画そのものを見直すべきだと思いますけれども、大臣、住民の皆さんの声を聞いていただきたいと思います。お答えいただきたいと思います。
○石井国務大臣
 リニア中央新幹線につきましては、平成26-2014年10月の工事実施計画認可以降、市区町村単位や地区単位での事業説明会を経て、現在、沿線各地で用地説明会等が開催をされております。

 また、工事に関しては、品川駅や南アルプスの山梨工区、長野工区において起工式が開催される等、事業が次第に本格化してきているところであります。

 このような中で、事業が円滑に実施されるためには、これまで以上に地元の理解と協力を得ることが不可欠と考えております。

 一昨年10月の工事実施計画認可の際にJR東海社長に対して指示しましたように、地元住民への丁寧な説明を行い、環境の保全の措置を講じながら、安全かつ確実に事業が行われるようJR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員
 住民の皆さんの声を聞かずにどんどん進めるやり方はやめるべきだということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○谷委員長 次回は、来る四月一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十三分散会
本村伸子氏の Facebook 記事(2016年3月30日)で、質疑応答の要点が書かれています。コメントが多数入っています。