岐阜県工区・瀬戸トンネル工事の現場事故

瀬戸トンネル工事現場事故

2021.11.29 リニア工事中断の継続を要望 岐阜知事、原因究明まで(共同通信 2021/11/29 19:28)
 岐阜県の古田肇知事は29日、名古屋市のJR東海本社で金子慎社長と面会し、長野、岐阜両県のリニア中央新幹線のトンネル工事で相次いだ事故を受け、原因究明と再発防止策が講じられるまでは岐阜県内のトンネル工事を再開しないよう求めた。
 提出した要望書では、事故が起きた現場だけでなく、他のトンネル工事でも安全対策に問題がないか再点検し、説明と情報提供を要請。長野の事故の検証結果の報告も求めた。
 一方で2027年の開業に向け工事計画通りに事業を進めるよう訴えた。面会後、古田知事は報道陣の取材に「紆余曲折あるにしても、当初の予定通り着実にやっていただきたい」と説明した。
2021.11.27 リニア工事事故1カ月、掘削再開できず 岐阜県「JR東海の安全対策不十分」(岐阜新聞 2021年11月27日 08:21)
 リニア中央新幹線の瀬戸トンネル(岐阜県中津川市瀬戸)の工事現場で作業員2人が死傷した事故から27日で1カ月。JR東海はトンネル掘削を停止し、安全対策を構築するため原因究明を急いでいる。県が安全対策の徹底を強く求める県内3工区の山岳トンネルについても掘削を中断する事態に発展しており、リニア建設工事の先行きは不透明になってきた。
 「調査中。まだお話できることはない」。25日に同市内であった安全推進協議会の初会合後、JR東海名古屋建設部の梅村哲男担当部長は調査状況についてこう答えた。県警が業務上過失致死傷の疑いを視野に捜査を進める中で、詳しい事故状況は見えてこない。
 JR東海は原因究明を進める一方、トンネル先端部で岩盤の表層が崩れる「肌落ち」による災害防止対策を徹底するため、瀬戸トンネル以外の山岳トンネル13工区の掘削も中断した。作業員の安全教育を行い、当初は現場の安全管理を確認した後に再開する方針としており、11月初旬には日吉トンネル南垣外工区(瑞浪市日吉町)、第一中京圏トンネル大森工区(可児市大森)、中央アルプストンネル山口工区(中津川市山口)の県内3工区の工事も再開する算段だった。
 だが県はJR東海の対応は不十分と判断した。県内では2019年4月に山口工区であった土砂崩落に続く2度目の重大事案で、今回はリニア建設工事に伴う初めての死者。「3度目は絶対にあってはいけない」(県リニア推進室)。事故の検証結果を踏まえた安全対策を報告した上で、県内3工区の掘削を再開するように要請した。
 瀬戸トンネルの事故から2週間もしないうちに長野県豊丘村のトンネル工事でも作業員1人が負傷する事故が発生した。事故翌日の定例会見で、古田肇知事は相次ぐ事故の検証結果とともに安全対策の報告を求める県の姿勢を示し、「全体として私どもとして評価をさせてほしい。そこまでは工事については待っていただく」と述べた。
 山口工区で土砂崩落が発生した時の工事中断は約7カ月に及んだが、他のトンネル工事に大きな影響はなかった。山口工区では中断前、リニア中部総合車両基地(同市千旦林)の土地造成に使うトンネル掘削土をダンプカーで工事現場に運び入れていたが、今回の事故以降それもできなくなった。トンネル工事以外のリニア関連工事にも影響が広がっている。
 同市の青山節児市長は24日の定例会見で「県と歩調を合わせて再発防止を求めていく」と述べ、工事中断による影響を注視する姿勢も示した。山口地区のリニア対策協議会の可知和人会長は再開時期が見えず苦労する地元の下請け業者からの相談もあるといい、「今後どうなるのか見通しだけでもいいので示してほしい」と地元の願いを話す。
 【リニア中央新幹線瀬戸トンネル崩落事故】 10月27日午後7時20分ごろ、中津川市瀬戸の瀬戸トンネル工事現場で発生。非常口トンネル(斜坑)の発破作業を終え、作業員5人が不発の火薬が残っていないか確認している際に、切羽と呼ばれるトンネル先端部で肌落ちが発生するなど岩石の崩落が2回起こった。男性作業員(44)が岩石の下敷きになって死亡し、助けに行った男性作業員(52)も巻き込まれて左足首を折るなどの重傷を負った。リニア建設工事による死亡事故は初めて。

JR東海トップページニュースリリース で継続的な情報確認が可能でしょう)
2021.10.28 中央新幹線瀬戸トンネル新設工事における切羽の肌落ち等について(PDF 117.6 KB)(第1報)
企業・IR・採用(リニア中央新幹線の情報あり)
 工事の安全・環境の保全・地域との連携(岐阜県)
  中央新幹線瀬戸トンネル新設工事における環境保全について(PDFファイル)
奥村組
 2021.10.29 中央新幹線 瀬戸トンネル新設工事における切羽の肌落ち等について・・・中央新幹線瀬戸トンネル新設工事における切羽の肌落ち等について(PDFファイル)【JR東海発表資料と同じ】・「なお、10月28日現在の状況については、発注者である東海旅客鉄道株式会社と共同で記者会見を行い、連名で「中央新幹線 瀬戸トンネル新設工事における切羽の肌落ち等について」を公表しております。」
 2021年10月27日22時過ぎのNHKニュースで事故を知りました。メディアのリンク集で一通り確認をしたので下記に残します。
 事業者JR東海と国土交通省が国民に対して今回の事故をどの様に説明し、リニア中央新幹線建設事業において今後の事故を防ぐ為の対策をどのような情報として発信するかに注意していきたいと思います。
 お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、ご親族の皆様にお悔み申しあげます。
2021.11.01 リニアのトンネル工事再開 崩落事故で安全対策―JR東海(時事通信 2021年11月01日 19時38分)
 JR東海は1日、リニア中央新幹線の瀬戸トンネル(岐阜県中津川市)工事現場の崩落事故を受け、中断していた山岳トンネル工事を一部再開したと発表した。作業手順の周知徹底など、安全対策を講じたという。
 同社によると、工事を中断していた品川―名古屋間の山岳トンネル14工区のうち、1日は8工区で再開。他の工区も順次再開するが、瀬戸トンネルについては原因究明のため未定としている。
 崩落事故は10月27日夜、トンネル本体工事に使う資機材を搬入する作業用トンネル内で発生。発破作業の後、岩石が剥がれ落ちる「肌落ち」が起き、巻き込まれた作業員2人が死傷した。
2021.11.01 JR東海がリニア8工区で工事再開(共同通信 2021/11/1 19:22)
  JR東海は1日、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの崩落事故を受けて中断していた14工区の掘削工事のうち8工区で再開したと明らかにした。
2021.10.28 リニア工事事故、再発防止指示 政府(時事通信 2021年10月28日 15時07分)
 磯崎仁彦官房副長官は28日の記者会見で、リニア中央新幹線の工事現場で起きた崩落事故に関し、「建設主体であるJR東海に対し、原因を徹底的に究明した上で再発防止策を講じるよう指示した」と述べた。

2021年10月27日(金)の事故発生から31日(日)までの報道を確認した記録です。
リニア2人死傷事故 現場で2回崩落 トンネル工事は当面中止に(毎日新聞 2021/10/28 20:44(最終更新 10/28 21:03))
 岐阜県中津川市のリニア中央新幹線「瀬戸トンネル」の工事現場で27日、作業員2人が死傷する崩落事故が発生した。JR東海は28日の緊急記者会見で、掘削中の非常口トンネルで崩落が2回起きたことを明らかにした上、全作業員に安全対策を再徹底するまで数日間、品川―名古屋間で進めている計14カ所の山岳トンネル工事を中断すると発表した。県警は同日、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて、事故現場の実況見分を行った。

 県警中津川署によると、この事故で、福井県美浜町河原市の作業員、小板孝幸さん(44)が死亡し、愛知県長久手市の男性作業員(52)が左足を骨折するなどの重傷を負った。ともに火薬を使用して掘削する発破作業の資格を持ち、20年以上の経験があるベテランだったという。

 JR東海によると、崩落は中津川市内を地下深く走る瀬戸トンネル(全長約4・4キロ)とつなぐ「非常口トンネル」(全長約600メートル)内の地上入り口から約70メートルの地点で発生。27日午後7時20分ごろ、作業員が火薬を使って岩盤を爆破させる掘削作業中、不発の残薬が残っていないか点検していたところ、頭上の掘削面から岩石が落下。小板さんの足が埋まり、あおむけに倒れた。52歳男性が救出に向かったところ、数十秒後、新たに推定計約2トンの岩石が落下し、倒れていた小板さんが岩塊の下敷きになったという。52歳男性も足が岩に埋まったという。

 今回のように掘削面から岩石が崩落する現象は「肌落ち」と呼ばれる。作業員はヘルメットなどの防護具を装備していたが、国のガイドラインに基づいた作業が行われていたかについて、JR東海の担当者は「確認している」と説明した。
 同社の新美憲一執行役員は記者会見で「重篤な事故を起こし申し訳なかった。原因究明と対策の徹底を図る」と陳謝した。2027年の開業を目指していたリニア中央新幹線のプロジェクト自体については「大きな影響はない」と述べた。

 リニア中央新幹線の工事をめぐっては、19年にも中津川市の中央アルプストンネル山口工区の非常口トンネルで崩落が発生し、JR東海は部分的にもろい地質があったことが崩落の原因と分析していた。一方、今回の現場については「花こう岩でできた硬い地層」といい、同社は「過去の崩落と今回の崩落は性格が違う」と説明している。【酒井志帆、熊谷佐和子】
【詳細】リニア トンネル工事事故 何が起きたのか?原因は?(NHK 2021年10月28日 19時18分)
27日夜、岐阜県中津川市にあるリニア中央新幹線のトンネルの工事現場で崩落が発生し、作業員2人が死傷した事故。JR東海による会見などから、事故の詳しい経緯が見えてきました。どこで、何が起きたのか、詳しくまとめました。

1.事故はどこで
事故が起きたのは、岐阜県中津川市瀬戸にある「瀬戸トンネル」の工事現場です。
JR東海によりますと、「瀬戸トンネル」は、長野県と岐阜県に建設予定の駅の間に位置し、計画では全長4.4キロメートルです。2019年1月に着工しましたが、本線の工事はまだ始まっていないということです。
現在は、本線につながるおよそ600メートルの「非常口用のトンネル」を掘る工事が進められていて、事故はこのトンネルの入り口からおよそ70メートルのところで起きたということです。

2.どんな工事
この工法は、主に山岳部でのトンネル工事で採用されていて、掘り進めたい場所に爆薬を設置して爆発させ、重機などで土砂をかき出してから、壁をコンクリートやボルトで固めます。
9月に、JR東海が撮影した現場の写真には、高さ7メートル、幅9メートルほどのトンネルの内部で、壁に爆薬を入れるための穴を開ける「ドリルジャンボ」という重機を使って工事を進めている様子が写されています。
掘削が完了したトンネルの内側の壁はコンクリ―トで固められているのが確認できます。

3.何が起きたのか
28日午後、会見を開いたJR東海によりますと、27日夜7時20分ごろ、非常口用のトンネルを掘る作業中、爆薬を爆発させたあと、トンネル内で地盤が崩れました。
この事故で、福井県美浜町の小板孝幸さん(44)が死亡し、愛知県長久手市の52歳の男性も足の骨を折るなどの大けがをしました。
爆薬を使った爆発のあと、5人の作業員が不発の爆薬が残っていないか点検していたところ、トンネル上部の表面がはがれ落ちる小規模な崩落が起きて、小板さんの足が埋まったということです。
近くにいた作業員が助け出そうとしたところ、さらに天井近くの岩が縦2メートル、横1メートル厚さ50センチほどにわたって崩落し2人が巻き込まれたということです。
リニア中央新幹線の工事で死亡事故が起きたのは初めてで、警察は業務上過失致死傷の疑いもあるとみて、安全管理などについて現場を詳しく調べています。

4.トンネル工学の専門家は
トンネル工学が専門の大阪大学の谷本親伯名誉教授は、JR東海が公開している地表の断面図を見たうえで「事故のあった非常口は、固い地盤の上にさまざまな堆積物が重なっている場所で、固い地盤に至る手前の壊れやすい強度の弱い層で工事を行っていた可能性がある」と指摘しました。
さらに「発破作業を行ったあとは、トンネルの壁に発生した亀裂などから表面が落下する『肌落ち』が起きやすく、トンネル工事で一番危険な状態だと言える。表面で落ちやすくなった箇所を意図的に落とすなどの危険をなくす作業の中で事故が起きたとみられる」と分析しました。
そのうえで「この作業はトンネル工事の常識的な作業なので、現場の監督がしっかり行われ、熟練した作業員が工事を行っていれば、ほとんど起こらない事故だと考えられる。このような事故がリニアの工事で起きたことを受け止め、原因を分析したうえで別の工事現場でも共有しなければならない」と話していました。

5.過去にも土砂崩れが
リニア中央新幹線の工事は各地で進んでいますが、これまでにもトンネル工事の現場周辺で土砂崩れが発生しています。
おととし、岐阜県中津川市で、「中央アルプストンネル」の工事のための作業用トンネルやトンネルの上の雑木林の土砂が崩れました。
現場の地盤に適さない工法が用いられていたことが原因とみられ、JR東海はトンネルの支えを強化する工法に見直すほか、必要に応じて地質の専門家に判断を求めるなどとする再発防止策を示しています。

6.工期に影響は
リニア中央新幹線は、2027年に品川・名古屋間の開業を目指しています。
およそ286キロの区間のうち、86%に当たる246キロ余りがトンネルで、▽山間部では「NATM」工法で掘削したり、▽首都圏や愛知県の都市部では「大深度地下」と呼ばれる地下40メートル以上の場所を大型の機械で掘り進めたりする工事が予定されています。
しかし、大井川をはじめとする水資源への影響などを懸念する静岡県が県内のトンネル工事の着工を認めておらず、協議が難航していることから、計画どおりの開業は難しくなっています。

こうした中で、今回の事故は起きました。
事故によるリニア中央新幹線の計画への影響について、JR東海の新美憲一執行役員は、28日夕方の記者会見で、「プロジェクトへの大きな影響はないと考えている」と述べました。
ただ、おととし岐阜県中津川市で発生したトンネル工事に伴う土砂崩れでは安全対策などのため、岐阜県と長野県を結ぶ4.7キロの区間で、およそ7か月間、中止されています。
今回は、リニア中央新幹線の工事では初めての死亡事故で、原因の究明と安全対策の強化が一層求められることから、工期への影響も懸念されそうです。
岐阜新聞の報道記録です・・・
リニア工事事故、掘削現場で「肌落ち」発生 大きな岩落下は「レアケース」(岐阜新聞 2021年10月29日 09:13)
 リニア中央新幹線の瀬戸トンネルの工事現場で発生した崩落事故について、トンネル工学を専門とする山口大の林久資助教は「工事にはどうしても切羽(きりは)(掘削の最先端)に作業員が近づかなければいけない状況もあり、このような事故が発生するリスクは少なからず存在している」と語る。
 今回の事故では作業員が切羽に近づいた際に、掘削面から岩石などが崩れる「肌落ち」が発生したとされる。林助教は「石がパラパラと落ちてくるような肌落ち自体は珍しくない。今回のように大きな岩が落ちるのはレアケース(珍しい)」と話す。
 厚生労働省によると、2000年からの11年間に全国では肌落ちで47人が死傷した。事故の6%で作業員に死亡者が出たほか、36%で1カ月以上休業するけがを負うなど、発生した場合の重篤度が高いとされている。
 同省ではこの事態を踏まえて16年にガイドラインを策定。切羽への労働者の立ち入りを原則禁止とし、機械化を積極的に進めるよう事業者に求めている。林助教は「岩がかなり突発的に落下したのでは。それを予測できなかった何らかの要因もあったのかもしれない」と推測する。
 山岳工区ならではの難しさもある。富山大の安江健一准教授(地質学)は「現場付近は苗木花崗(かこう)岩と濃飛流紋岩が分布し、固い岩盤がある」と分析。しかし「県内を含めて中部地方は活断層が多く、付近には破砕帯がある。地盤が固くても、もろくて水が出やすい場所もある」と指摘し、「今後も岐阜県内のルートでは、注意深く掘削を進める必要があるだろう」と注意を促した
リニア工事事故現場、発破後に崩落2回 掘削を一時中断、業過致死傷疑いも視野(岐阜新聞 2021年10月29日 08:26)
 岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル工事現場で男性作業員2人が死傷した事故で、JR東海は28日、現場では発破後に崩落が2回発生していたと明らかにした。亡くなった男性作業員は、残火薬の有無を目視で点検する際、掘削面の上部の一部が崩れる「肌落ち」に巻き込まれたとみられる。JR東海は原因究明のため、瀬戸トンネルに加え、山岳トンネル工事を実施している13工区の掘削工事を一時中断する。
 中津川市と名古屋市で開いた記者会見で明らかにした。JR東海によると、27日夜にこの日最後の発破を終え、作業員5人で点検作業をしていたところ肌落ちが発生。作業員(44)=福井県美浜町=の足が岩石で埋まった。近くにいた男性作業員(52)=愛知県長久手市=が救出しようとした際、肌落ちがあった付近で2回目の崩落があったという。作業員(44)は約1立方メートルの岩石の下敷きになって死亡した。男性は左足骨折などの重傷を負った。
 現場の地質は花崗(かこう)岩類で、やや風化が進んでいた。現場は、非常口トンネル(斜坑)約600メートルのうち約70メートルを掘り進んだ場所で、幅、高さともに約7メートル。地盤は入り口と比べ徐々に安定しつつあったという。
 県警は28日、業務上過失致死傷の疑いを視野に実況見分を行った。関係機関も調査に入り、原因究明に当たっている。
 瀬戸トンネル新設工事は奥村組と浅沼組、TSUCHIYAの共同企業体(JV)が請け負い、全長約4・4キロの本線トンネルの掘削に向け、6月から斜坑の掘削に着手していた。
ダイナマイトの残りを確認しようと近づいたところ、崩落 リニアのトンネル工事現場2人死傷事故(岐阜新聞 2021年10月28日 19:41)
 岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で作業員2人が死傷した事故で、JR東海は28日、亡くなった作業員は発破作業の後にダイナマイトが残っていないかを目で確認しようと近づいたところ、地山の一部が落下し岩の塊の下敷きになったと状況を説明した。
 説明によると、27日午後7時12分にダイナマイトを使った発破作業をした後、作業員5人が残薬がないかを点検するため掘削面(切羽)に近づいた。現場で点検をしていると約8分後、掘削面から岩石約0・3立法メートルが崩れ落ちる「肌落ち」が起き、作業員(44)の足が岩の塊に埋まった。
 助け出そうと別の作業員(52)が向かうと、直後に近くで、地山の一部約1立法メートルが落ちてきて、44歳の作業員が岩の塊の下敷きになり死亡したという。52歳の作業員も足が岩の塊に埋まり、足の骨を折る2カ月のけがを負った。
 岩盤、地山が崩れた原因を調べる。
 事故を受けて、JR東海の岡崎真人中央新幹線岐阜工事事務所長は「山岳トンネルの掘削工事をいったん取りやめる」と話し、すべての工事現場で安全対策が徹底されているかを確認できるまで工事を中断すると明らかにした。
リニア工事2人死傷事故で現場確認 岐阜県警など関係者から聴取(岐阜新聞 2021年10月28日 10:46)
 岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で作業員2人が死傷した事故で、県警と消防は28日朝から、原因などを調べるための現場確認を進めている。
 瀬戸トンネルの工事現場入り口には午前9時すぎから、県警の捜査車両や消防の車両が次々と到着。恵那労働基準監督署の職員も加わり、敷地内に入った。
 午前10時半現在、現場の安全確認ができていないためトンネル内には入れていないとみられ、工事関係者に話を聞くなどして当時の状況を調べている。
 県警やJR東海によると、27日午後7時20分ごろ、発破作業後に作業員が現場を点検していた際、男性作業員2人が事故に巻き込まれたとみられる。中津川署によると、2人は市内の病院に搬送され、このうち福井県美浜町の男性(44)が死亡した。もう1人の愛知県長久手市の男性(52)が左足骨折などの重傷を負った。
 JR東海によると、現在は本線トンネル(約4・4キロ)の掘削に向け、本線に向かう非常口トンネル(斜坑)の掘削を今年6月から始めていた。全長約600メートルのうち坑口から約70メートルまで掘り進め、同地点で事故が発生した。事故当時は5人が作業しており、残りの3人は無事だった。リニア中央新幹線の工事で死亡事故が起きたのは初めて。
 瀬戸トンネルの新設工事は奥村組と浅沼組、TSUCHIYAの共同企業体(JV)が請け負い、2019年1月に着手した。掘削工事は火薬による発破で砕いて内壁にコンクリートを吹き付けて掘削する「ナトム工法」を採用している。
死亡したのは44歳作業員 リニア工事で初の死亡事故 JR東海「原因を調査」(岐阜新聞 2021年10月28日 00:35)
 27日夜、岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル内の工事現場で男性作業員2人が土砂崩落に巻き込まれた事故で、中津川署は、死亡した男性の身元について福井県美浜町河原市の男性(44)と発表した。愛知県長久手市の男性(52)は左足骨折などの重傷を負った。
 JR東海によると、リニア中央新幹線の工事で死亡事故が起きたのは初めて。
 JR東海は「亡くなられた方、おけがをされた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。原因を調査し、再発防止に努めていく」とのコメントを出した。
崩落現場は非常口トンネル70m掘り進めた地点 発破後の点検中に巻き込まれたか リニア工事2人死傷事故(岐阜新聞 2021年10月28日 00:02)
 JR東海によると、27日夜、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線瀬戸トンネル内の工事現場で1人が死亡、1人がけがをした崩落事故は、本線トンネル掘削に向け非常口トンネル(斜坑)約0・6キロのうち約70メートルを掘り進めた地点で起きた。
 死傷した2人はいずれも男性の作業員。火薬による発破後の点検作業中に事故に巻き込まれた。当時は5人が作業しており、ほかの3人は無事だった。
 JR東海によると、瀬戸トンネルの工事は2019年1月に着手。本線トンネルの全長は約4・4キロ、今年6月から本線に向かって斜坑の掘削を始めた。
 工事は火薬による発破で砕いて、内壁にコンクリートを吹き付けながら掘削する工法を採用。奥村組と浅沼組、TSUCHIYAの共同企業体が請け負っている。
リニア新幹線トンネル工事現場で「崩落事故」と119番 作業員1人死亡、もう1人はけがの程度不明 岐阜・中津川(岐阜新聞 2021年10月27日 21:45)
 27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル工事現場で工事関係者から「工事の現場で崩落があった」と119番があった。JR東海によると、トンネル内にいた作業員2人が救急搬送されたが、間もなく1人が亡くなった。もう1人は意識はあるが、けがの程度は不明という。
 瀬戸トンネルは本線トンネルが約4・4キロ、非常口トンネル(斜坑)が約0・6キロ。トンネル全体としては2019年1月に着工し、現在は本線に向かって斜坑を60~70メートルほど掘り進めていたという。事故は斜坑内で発生した。

【以下は第1報での記事】
 27日午後7時25分ごろ、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線「瀬戸トンネル」の工事現場で崩落事故が起きたと消防に通報があった。県警中津川署によると、男性作業員2人が巻き込まれ、2人とも救助され医療機関に搬送されたが、1人は意識不明の重体、もう1人は会話ができる状態という。
 同署によると、現場では発破作業が行われていたらしい。【荒川基従】
各種報道機関からの記事・・・
リニア中央新幹線 トンネル工事現場で崩落事故 1人死亡1人けが(NHK全国版 2021年10月27日 22時44分)
 7日夜、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線のトンネル工事の現場で崩落事故があり、警察によりますと作業員1人が死亡し、1人がけがをしたということです。トンネルを掘削するために爆薬を使っていたということで、警察が詳しい状況を調べています。
27日午後7時20分ごろ、中津川市瀬戸のリニア中央新幹線の「瀬戸トンネル」の工事現場で「崩落があった」と工事関係者から消防に通報がありました。
男性作業員2人が病院に運ばれ、警察によりますとこのうち1人が死亡し、もう1人は足にけがをしていますが意識はあるということです。
JR東海によりますと、リニア中央新幹線の「瀬戸トンネル」はおととし1月に着工したおよそ4.4キロのトンネルで、警察などによりますと当時、本線につながるおよそ600メートルの非常口用のトンネルを造る作業中で、トンネル内で掘削のための爆薬を爆発させていたということです。
JR東海は情報収集を急ぐとともに、警察や消防が詳しい状況を調べています。
【以下 2021年10月28日 0時11分 追録と思えます】
リニア中央新幹線工事で死亡事故は初めて
JR東海によりますと、今回の事故で死亡したのは40代の男性作業員で、リニア中央新幹線の工事で死亡事故が起きたのは今回が初めてだということです。
病院に搬送されたもう1人の50代の男性作業員は左足首を骨折しているということです。
非常口のトンネルを掘り進めるための発破作業が行われたあとの点検中に掘った表面が崩れたということで、JR東海などは事故の原因を調べています。
リニア工事で初の死者 トンネル崩落し1人死亡1人重傷 岐阜(毎日新聞 2021/10/27 21:30(最終更新 10/28 00:50))
 27日午後7時25分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線「瀬戸トンネル」の工事現場で崩落事故が起きたと消防に通報があった。JR東海や県警中津川署によると、男性作業員2人が巻き込まれ、2人とも救助され医療機関に搬送されたが、福井県美浜町河原市、作業員、小板孝幸さん(44)が死亡した。愛知県長久手市の男性作業員(52)も左足を骨折するなど重傷。岐阜県警中津川署が詳しい事故原因を調べている。
 JR東海などによると、事故は、中津川市内を地下深く走る瀬戸トンネル(全長約4・4キロ)を作るため、地上から地中に向けて掘削する「非常口トンネル」(全長約600メートル)内の地上入り口から約70メートル地点で起きた。当時は掘削作業に伴い火薬を使って爆破させ、作業員5人が爆破後の土砂の状況を点検していたところ、崩落が発生したという。
JR東海は「亡くなられた方、けがをされた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。原因を調査し、再発防止に努めてまいります」とコメントした。
 同社によると、リニア中央新幹線の工事を巡って死者が出るのは初めてという。【荒川基従、酒井志帆】
【前の記事】工事中のリニアトンネルで崩落事故 1人意識不明、1人けが 岐阜(毎日新聞 2021/10/27 21:30(最終更新 10/27 22:56))
 27日午後7時25分ごろ、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線「瀬戸トンネル」の工事現場で崩落事故が起きたと消防に通報があった。県警中津川署によると、男性作業員2人が巻き込まれ、2人とも救助され医療機関に搬送されたが、1人は意識不明の重体、もう1人は会話ができる状態という。
 同署によると、現場では発破作業が行われていたらしい。【荒川基従】
中津川のリニア工事現場で崩落 1人死亡、1人けが (2021年10月27日 22時37分 中日新聞)
 27日午後7時25分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル工事現場で、「崩落が起きた」と一一九番があった。県警や消防によると、発破作業後に現場を確認に行った男性作業員2人が中津川市内の病院に運ばれ、1人が死亡し、もう1人は右足を骨折した。
 JR東海によると、瀬戸トンネルは全長約4・4キロ。工事では2019年1月、作業基地整備などの準備工事を開始し、21年6月からトンネル本体の掘削前に行う斜坑の掘削工事を実施していた。... (中日新聞読者の方は、無料の会員登録で、この記事の続きが読めます。)
リニア工事現場の発破作業で崩落事故、1人死亡で1人は足を骨折(読売新聞 2021/10/27 22:52)
 27日午後7時20分頃、岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線「瀬戸トンネル」の工事現場で、発破作業に伴う崩落事故があったと119番があった。
 県警中津川署によると、トンネル内にいた男性作業員2人が救急搬送され、1人の死亡が確認された。もう1人は足を骨折するなどした。
 JR東海によると、崩落したのは本線トンネルに資材を運び込む作業用トンネル(約600メートル)の掘削現場で、現在は約60メートルまで掘り進んでいるという。
 県のホームページなどによると、瀬戸トンネルは建設予定の「岐阜県駅」(仮称、中津川市)―「長野県駅」(同、長野県飯田市)間に位置する。全長約4・4キロ・メートルで、工期は2018年8月~26年6月となっている。
リニア工事現場で「崩落」通報、作業員の男性死亡 岐阜のトンネル(朝日新聞 2021年10月27日 21時59分)
 27日午後7時半ごろ、岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場から「崩落事故があった」と119番通報があった。中津川市消防本部やJR東海によると、トンネル内部で作業をしていた2人が救急車で中津川市内の病院に搬送された。うち40代男性の死亡が確認された。50代の男性は意識があるという。
【編注・朝日新聞は記載内容を追録(更新)しましたので、【続報】として追記しました】
 うち福井県美浜町の小板孝幸さん(44)の死亡が確認された。愛知県長久手市の男性(52)は左足を骨折するけがを負った。
 JR東海によると、瀬戸トンネルでは資材などを運び込む作業用トンネル(斜坑)の工事をしており、斜坑入り口から60~70メートルの場所で崩落があったという。
 【続報】 同社は「発破後の点検中に崩れ、作業員2人が巻き込まれた」と説明している。
 瀬戸トンネルは長さ約4・4キロ。工期は2018年8月から26年6月の予定で、19年に着工し、今年6月に斜坑の掘削が始まり、現在、約1割を掘削中だという。
 【続報】 死亡事故はリニア工事では初めてという。同社は「亡くなられた方、おけがをされた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。原因を調査し、再発防止に努めてまいります」とコメントした。
岐阜のリニアトンネル工事現場で崩落、2人けが(産経新聞 2021/10/27 21:23)
 岐阜県警などによると、27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル内の工事現場で崩落事故が起きたと119番があった。男性作業員2人がけがをし、うち1人が意識不明という。県警などが詳しい状況を調べている。
リニアトンネル工事で崩落事故 作業員1人死亡、1人けが―岐阜(産経新聞 2021年10月27日22時46分)
 27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で、「崩落があり、けが人が出ている」と119番があった。県警や同市消防本部によると、男性作業員2人が病院に搬送され、1人が死亡した。
 2人は40代と50代で、重傷だった40代男性が死亡したとみられる。50代男性は右足を骨折した。他にけが人はいないという。
 JR東海によると、当時は作業員が出入りする際に使う作業用トンネルの穴を掘っていた。地上から斜め下に約60~70メートルの地点で事故が起きたという。瀬戸トンネルは全長約4.4キロ。工期は2019年1月~26年6月とされる。
岐阜リニア工事現場で崩落、意識不明の1人死亡(産経イザ 2021/10/27 22:09)
 岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線の瀬戸トンネル内の工事現場で27日に起きた崩落事故で、けがをした男性作業員2人のうち意識不明となっていた男性1人が死亡したことが、JR東海への取材で分かった。
岐阜県警や消防によると、もう1人の男性も発破作業中に巻き込まれ、病院に搬送された。
 JR東海の工事概要によると、瀬戸トンネルは本線が長さ約4・4キロ、非常口トンネルが長さ約0・6キロ。国土交通省によると、JR東海から27日夜、事故の報告があった。国交省が対応を検討している。
リニア新幹線工事で崩落 作業員1人死亡1人重傷(共同通信 2021/10/27 23:04)
 27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線の瀬戸トンネル内の工事現場で、崩落が起きたと119番があった。県警やJR東海などによると、発破作業をしていた男性作業員2人が病院に搬送され、うち1人が死亡した。もう1人は足を骨折する重傷。ほかにけが人や逃げ遅れたという情報はない。
 JR東海によると、瀬戸トンネルは本線トンネルが長さ約4.4キロ。非常口トンネルは長さ約0.6キロ。2019年に工事に着手した。崩落が起きたのは、非常口トンネル入り口から約70メートルの地点。
NHKから続報があり、記録しておきます。
リニア中央新幹線 トンネル工事現場で崩落事故 1人死亡1人けが(NHK 2021年10月28日 0時37分)
27日夜、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線のトンネルの工事現場で崩落事故が起き、巻き込まれた作業員1人が死亡、1人が大けがをしました。
JR東海によりますと、リニア中央新幹線の工事で死亡事故が起きたのは初めてで、警察が詳しい状況を調べています。
27日夜7時20分ごろ、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線の「瀬戸トンネル」の工事現場で「崩落があった」と工事関係者から消防に通報がありました。
警察によりますと、作業員の男性2人が巻き込まれ病院に搬送されましたが福井県美浜町の小板孝幸さん(44)の死亡が確認されました。
もう1人の52歳の男性も足や腰の骨を折るなどの大けがをしたということです。
JR東海によりますと当時、作業員5人態勢で本線につながるおよそ600メートルの非常口用のトンネルを掘る工事が進められていて、入り口からおよそ70メートルのところで掘削のための爆薬を爆発させたあとに内部の点検をしていたところ、周囲が崩れて2人が巻き込まれたとみられるということです。ほかの3人にけがはありませんでした。
「瀬戸トンネル」はおととし1月に着工した中津川市にあるおよそ4.4キロのトンネルで、非常口用のトンネルは27日までに全体のおよそ1割の掘削が終わっていたということです。
JR東海によりますと、リニア中央新幹線の工事で死亡事故が起きたのは初めてで警察が詳しい状況を調べています。
JR東海は「亡くなられた方、けがをされた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。原因を調査し再発防止に努めます」とコメントしています。
リニア中央新幹線トンネル工事事故 JR東海会長「原因究明を」(NHK 2021年10月28日 15時04分)
27日夜、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線のトンネルの工事現場で作業員1人が死亡し、1人がけがをした事故について、JR東海の柘植康英会長は「しっかり原因を究明して、どう対応するか、対策を考えないといけない」と述べ、今後、会社として原因究明に向けた検証を進めていく考えを示しました。
27日夜7時20分ごろ、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線のトンネルの工事現場で崩落事故があり、作業員1人が死亡し、1人がけがをしました。
この事故についてJR東海の柘植会長は、28日朝、記者団に対し「非常に重大なことだ。本当にお悔やみとお見舞いを申し上げる」と述べました。
そのうえで「しっかり原因を究明して、どう対応するか対策を考えないといけない」と述べ、今後、会社として原因究明に向けた検証を進めていく考えを示しました。
リニア中央新幹線をめぐっては、静岡県でトンネル工事の着工が遅れ、2027年の開業が難しくなっていますが、柘植会長は「環境への配慮や、地元地域への懇切丁寧な対応とともに、安全に工事を進めることが本当に大事なことだ。二度と事故が起きないような万全な策を考えないといけない」と述べ、再発防止の徹底に全力をあげる考えを示しました。

警察 業務上過失致死傷の疑いで捜査始める
事故を受けて警察は、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて、爆薬が適切に使われていたかや安全管理について28日朝から関係者に話を聞くとともに、午後には現場で詳しく調べることにしています。
また、消防や労働基準監督署も現場の状況や安全管理について調べています。
「瀬戸トンネル」は、およそ4.4キロのトンネルで、おととし1月に着工しJR東海によりますと、非常口用のトンネルはおよそ600メートルのうちおよそ1割の掘削が終わっていたということです。

磯崎官房副長官「国交省が再発防止策講じるよう指示 状況注視」
磯崎官房副長官は記者会見で「亡くなられた作業員の方のご冥福と、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げたい。また負傷された方には心からお見舞いを申し上げたい。現在警察で、事故について調査が行われていると承知している。国土交通省が、リニア中央新幹線の建設主体であるJR東海に対し原因を徹底的に究明したうえで再発防止策を講じるよう指示した。状況を注視していきたい」と述べました。

中津川市長「事故原因しっかり究明を」
リニア中央新幹線のトンネルの工事現場で、崩落が起きて2人が死傷した事故を受けて、地元の中津川市の青山節児市長は「本当に残念な事故だ。市内各地で同じような工事が行われているので、JR東海には事故の原因をしっかりと究明してほしい。そのうえで安全対策を講じて、事故が起きないように工事を進めてほしい」と話しています。
リニア工事で初の死亡事故、トンネル掘削現場で発破後の点検中に崩落(橋本 剛志 日経クロステック/日経コンストラクション 2021.10.29 有料会員限定)
 リニア中央新幹線の工事で初の死亡事故が起こった。2021年10月27日、岐阜県中津川市で掘削中のトンネルで、発破作業後の岩盤の点検中に地山が崩れ、男性作業員2人が巻き込まれた。1人が死亡し、もう1人が左足を骨折する重傷を負った。
 事故が起こったのは、全長約4.4kmの「瀬戸トンネル」本線の掘削現場に地上から資材を運び入れるための斜坑だ。長さは約600mで、坑口から約70mを掘ったところだった。奥村組・浅沼組(大阪市)・TSUCHIYA(岐阜県大垣市)JVが19年1月に着工し、NATM工法で施工している。
 21年10月27日午後7時12分に発破作業を実施した後、午後7時20分ごろに切り羽付近で肌落ちと地山の一部の崩落が立て続けに発生した。現場の土かぶりは約23mで、坑内の幅は約6.8m、高さは約6.5m。斜坑内では7人が作業しており、そのうち2人が巻き込まれた。
 死亡した40代の作業員は発破作業の後、残った火薬の有無を点検するため切り羽に近づいた。その際に切り羽の上部左側で肌落ちが発生し、作業員の足が埋まった。落下した岩塊の大きさは縦約1m、横約1m、厚さ約0.3mと推定される。
別の50代の作業員が救出に向かったところ、肌落ちした箇所に隣接する地山の天端が一部落下。推定で縦約2m、横約1m、厚さ約0.5mの岩塊が落ちた。
 40代の作業員が岩塊の下敷きとなり、50代の作業員は足が岩塊に埋まった。下敷きとなった作業員は病院に搬送された後、死亡が確認された。事故の詳しい原因は調査中。
2019年に別の斜坑でも崩落
 リニアのトンネル工事を巡っては19年4月に、瀬戸トンネルの東側に位置する「中央アルプストンネル」の斜坑でも崩落事故が発生している。トンネル内への土砂流入に伴って地表が陥没した。
 この斜坑は鹿島・日本国土開発・吉川建設(長野県飯田市)JVがNATM工法で掘削していた。地山の一部に介在する弱い地質や掘削断面の不適切な形状が崩落につながったと推定される。
 JR東海は岐阜県瑞浪市にある南垣外非常口で斜坑を掘り終え、「日吉トンネル」では既に本線の掘削作業を始めていた。
21年10月14日には、東京都品川区で大深度地下トンネルの試験的な掘削作業に着手した。
長野県内メディアから多数の発信があり、時系列で記録しておきます。
リニアトンネル工事現場で崩落、2人けが(信濃毎日新聞 2021/10/27 21:16)
 岐阜県警などによると、27日午後7時20分ごろ、中津川市のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル内の工事現場で崩落事故が起きたと119番があった。男性作業員2人がけがをし、うち1人が意識不明という。
リニアトンネル工事で崩落 1人死亡 中津川(信濃毎日新聞 2021/10/28 06:07)
 27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で崩落が起きたと119番があった。県警とJR東海によると、発破作業後の点検で非常口トンネルにいた5人のうち作業員2人が巻き込まれ、福井県美浜町河原市の小板孝幸さん(44)が死亡、愛知県長久手市の男性(52)が左足を骨折する重傷を負った。
 JR東海によると、リニア中央新幹線の工事では過去にも崩落が発生しているが死者は初めて。瀬戸トンネルは本線トンネルが長さ約4・4キロ、本線への資材搬入にも使う非常口トンネルが長さ約0・6キロの計画で、2019年に着工した。崩落したのは非常口トンネルの地上入り口から約70メートル斜め下に掘り進んだ地点。岐阜県警が事故の詳しい状況を調べる。
 JR東海の工事概要によると、壁に穴を開けて火薬を詰め、発破作業をし、土砂を運び出して鋼鉄のアーチで補強、さらにコンクリートを吹きつける手順になっている。
 国土交通省によると、JR東海から27日夜、トンネル掘削の際、表層の土砂などが崩れる「肌落ち」が起きたと報告があった。同社は「亡くなられた方とけがをした方にお悔やみとお見舞いを申し上げる。原因を調査し、再発防止に努める」とのコメントを出した。
 リニアのトンネル工事を巡っては19年4月、中津川市の中央アルプストンネルの非常口トンネル入り口付近で崩落が確認され、内部に土砂が流れ込んだ。弱い地盤に工法が適していなかったことが原因とみられる。
 17年12月には上伊那郡中川村の県道脇で発生。近くの地下で南アルプストンネル関連の工事が行われており、JR東海は当時、発破作業などによる振動が原因とみられると明らかにした。
■南木曽町長「再発防止を」
 岐阜県中津川市と接し、リニア中央新幹線中央アルプストンネル計画がある木曽郡南木曽町の向井裕明町長は27日夜、事故の情報は得ていないとしつつも、JR東海に対し「速やかな情報提供と再発防止を求めたい」と話した。
リニア掘削工事の先端で崩落 岐阜のトンネル事故は「肌落ち」(信濃毎日新聞 2021/10/28 09:50)
 作業員2人が死傷した岐阜県中津川市のリニア中央新幹線瀬戸トンネル事故で、非常口トンネルを地上から斜め下に約70メートル掘り進めた先端の地点で崩落が発生したことが28日、JR東海への取材で分かった。事故があったのは、本線トンネルへの資材搬入などに使う斜坑部分で、同社は掘削の際に表層の土砂などが崩れる「肌落ち」が起きたと国土交通省に報告。事故原因の調査を続けるとし、トンネル工事は再開のめどが立っていない。
 県警は業務上過失致死傷の疑いもあるとみている。
 磯崎仁彦官房副長官は記者会見で「亡くなった作業員のご遺族の皆さまにお悔やみを申し上げたい」と述べた。
リニア瀬戸トンネル、崩落は2回 JR東海、掘削一時中断(信濃毎日新聞 2021/10/28 16:18)
 作業員2人が死傷した岐阜県中津川市のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの崩落事故で、JR東海は28日午後、名古屋市で記者会見し、崩落は27日午後7時20分ごろに2回発生したと説明した。また安全を確保できるまで山岳部の掘削工事を中断すると明らかにした。中断は2~3日間の見通しで「リニア中央新幹線全体の整備計画に大きな影響はない」としている。
 県警は28日午後に現場を実況見分した。業務上過失致死傷の疑いもあるとみて安全管理に問題なかったか詳しく調べる。JR東海によると、27日午後7時12分、火薬を使った発破作業をし、同20分ごろ、10~20秒の間隔で2回崩落した。
リニア掘削工事 一部中断 県内関連6工区 中津川の崩落事故受け(信濃毎日新聞 2021/10/29 06:04)
 作業員2人が死傷した岐阜県中津川市のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの崩落事故で、JR東海は28日、崩落は火薬を使った発破作業から10分以内となる27日午後7時20分ごろに2回発生したと明らかにした。いずれも表層の岩石などが崩れる「肌落ち」だった。
 名古屋市で新美憲一執行役員らが記者会見し「ご心配をお掛けし、深くおわび申し上げる」と陳謝した。同社は、山岳部の14工区で3日程度、掘削工事を中断すると表明。その後、瀬戸トンネル以外は再開する方針で「リニア中央新幹線全体の整備計画に大きな影響はない」としている。
 JR東海広報部によると、長野県内で中断するのは南アルプストンネル長野工区(下伊那郡大鹿村―静岡市)、伊那山地トンネルの青木川工区(大鹿村)、坂島工区(大鹿村―下伊那郡豊丘村)、戸中・壬生沢工区(豊丘村)、中央アルプストンネル松川工区(飯田市)の5工区。木曽郡南木曽町―中津川市間の中アトンネル山口工区は、掘削中の同市側で工事が中断する。
 岐阜県警は28日午後に現場を実況見分。業務上過失致死傷の疑いもあるとみて安全管理に問題がなかったか調べる。
【飯田市・下伊那】リニア中央新幹線工事の崩落事故で山岳トンネル掘削工事を一時中断へ 検証求める声も(南信州新聞 2021年10月29日 金曜日 16時25分)
 リニア中央新幹線の瀬戸トンネル(岐阜県中津川市)の工事現場で作業員2人が死傷した崩落事故で、JR東海は28日、品川―名古屋間の14工区の山岳トンネル掘削工事を一時中断することを明らかにした。全作業員に安全対策や作業手順を徹底した上で、週明けにも工事を再開したい考え。全体の工期については「大きな影響はない」としている。
 県内で中断しているのは大鹿村の南アルプストンネル長野工区、伊那山地トンネルの青木川工区(大鹿村)と坂島工区(大鹿村―豊丘村)、戸中・壬生沢工区(豊丘村)、中央アルプストンネル松川工区(飯田市)の5工区。
 瀬戸トンネルについては、原因を究明した後に再開する見通し。
 事故は27日午後7時20分ごろ、非常口トンネル(全長600メートル)の坑口から70メートル地点で、ダイナマイトを使った発破作業の後に発生した。JR東海広報部によると、作業員が爆破状況の確認のため近づいた際に、表層がはがれ落ちる「肌落ち」が発生。救出に向かったところ、さらに大きな崩落があって作業員2人の上に落下した。44歳男性が死亡し、52歳男性が左足首付近を骨折する重傷。
 奥村組など3社でつくるJV(共同企業体)が工事を請け負っている。
 崩落事故を受け、飯田下伊那地域の沿線の首長からは検証と再発防止を求める声が相次いだ。
 飯田市の佐藤健市長は「(安全に工事を進めることは)環境への配慮や地元地域への丁寧な対応とともに最優先事項」と指摘。その上でJR東海に対して再発防止策の徹底と、事故発生後の速やかな情報共有を求めたいとした。
 豊丘村の下平喜隆村長は「死亡事故が起きた以上、中断は当然のこと」ときっぱり。阿智村の熊谷秀樹村長も同様の受け止めで「事故の検証をしっかりと行い、安全の確認をした後に再開してほしい」と願った。
 喬木村の市瀬直史村長は原因をしっかり特定し「安心安全な施工のめどが立つまで検証を」と話した。
 トンネル掘削工事が進む大鹿村の熊谷英俊村長は「トンネル工事はリニアに限らず常に危険と隣り合わせの工事であり、完全に事故を防ぐことが難しいことは理解しているが、安全対策に落ちがなかったかどうか再確認した上で再開してほしい」と語った。
作業員の死因は外傷性ショック リニア工事崩落で捜査本部(信濃毎日新聞 2021/10/29 21:40)
 岐阜県中津川市のリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で作業員2人が死傷した崩落事故で、県警は29日、亡くなった小板孝幸さん(44)=福井県美浜町=の死因が外傷性ショックだったと発表した。既に中津川署に捜査本部を設置。業務上過失致死傷の疑いも視野に、現場を実況見分し工事関係者から聴取するなど原因を調べている。
 事故は27日午後7時20分ごろ発生。JR東海によると、本線トンネルにつながる非常用の斜坑(計画約600メートル)の入り口から約70メートル掘り進んだ地点で、発破作業をした約8分後に10~20秒の間隔で2回にわたり崩落した。