2013年3月19日(火) 18:30から山梨県立図書館1階 イベントスペースで開催された、講演会「高速鉄道と観光」 観光立国フォーラム in 甲府(講師 須田 寛さん) に出かけてきました。
その時に資料類と一緒に須田さんの新刊書、「街道観光」をいただいたので表紙を掲載しておきます。内容紹介、目次は交通新聞社のページにリンクしてありますのでご参照ください。
1.観光立国と喧伝されているが、実状は低迷している。
2.観光旅行も以前の団体旅行からグループ、個人の旅行にシフトしていて、その理由は観光情報へのアクセスが容易になり、個人としての選択が可能になっていることにある。
3.観光の意味が変化していて、見物する観光から、体験や学習を目的にするものにシフトしている。しかし受入れ側にその体制が無い。
4.市町村単位で考えるのではなく、広域的に対応できる方法を考えるべき。
5.アクセスの利便性は重要である。
昭和39(1964)年の東海道新幹線開業当時は東名高速の開通もあり、客数などのデータは定かではないが、旅行日程は短縮されたデータがあるとして、そのグラフが示されました。以前は3日以上の旅行客が8割だったのが、3日以下の客が8割を占めるようになったようです。
昭和47(1972)年の山陽新幹線岡山開業時のデータは採られたそうです。前年46年に比べて県外観光客(入り込み客)はおよそ倍になり、その数値はその後も維持されているようです。
昭和50(1975)年の博多開業時には、九州北部各県と中国地方西部各県で観光客数の対前年比が全国平均を上回った。
昭和57(1982)年の東北新幹線開業時では、二次交通(新幹線駅からの交通利便性)により東北地方の観光地で差が出たそうです。
すなわち観光立国のポイントは、二次輸送、受け入れ体制(街づくり)、トライアングル形成の三点ということです。
このことは、リニア中央新幹線の活用という場合にも同じであること。リニアについては少し触れられましたが、これまで知られている情報と同じですから省きます。
私は観光トライアングルという言葉にとても興味を持ちました。これって街づくりで語られる「巡回性」と同じコンセプトでしょう。私もこのことは甲府の街づくり記事で書いたような気がします。もっと広げて考えれば八ヶ岳方面、富士五湖方面、身延など南部方面をトライアングルと捉えた時の巡回性の問題にもなります。
二次交通インフラ(道路や公共交通機関の新規箱物整備)を先に進めても意味が無いのであって、既に山梨観光トライアングルが形成されているかどうか、その検証がされていて、その結果を知ることができるかどうか、確認しておきたいと思います。
県外からの観光客の動線とでも言うべきか、どんなポイントを見て回っているのか、こちらが期待(想定)したように動いていないなら、その原因は何か・・・そういう分析は難しいとは思いますが資料は見つかりました。
◇ 山梨県観光入込客統計調査結果(山梨県観光部観光企画課)(更新日:2013年2月22日 山梨県観光部観光企画・ブランド推進課)
◇ やまなし観光推進計画(山梨県観光部観光企画課 担当:企画・おもてなし推進担当)
◇ 山梨県観光振興基本計画(※計画期間はH19~H22)
リニア中央新幹線開通により首都圏~名古屋・関西の二極化が進むだけにしないためには、山梨はどうあるべきか。
だからこそ、まず地域内トライアングルが確立されていて、「行ってみたい、出かけて体験してみたい」と関心を持たれている必要があるだろうというのが私が感じたことなのです。
今開催中の 第28回国民文化祭やまなし2013、県庁サイトも、県内各自治体も案内記事を掲載していますが、サイト管理者はそれがクリックされているアクセスログの状況に注意し、県庁担当の手元に集めて分析するような方法もお考えになるとよいかも知れません。
いただいた資料の中に入っていたリーフレットから、特定非営利活動法人 JAPAN NOW 観光情報協会(2011年4月認証)を知りました。須田さんの講演会の司会をなさったのはこちらのスタッフの方のようでした。講演会を共催されています。須田さんはこのNPO副理事長のお一人です。