リニア中央新幹線

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第186回国会 参議院 国土交通委員会
平成26(2014)年6月19日

以下は国会議事録から辰巳孝太郎議員による質疑応答のリニア中央新幹線関係を抜粋したものです。
縦書き文書で用いられる数字はアラビア数字に変換し、元号表記に西暦を付加、長いセンテンスを適宜改行するなど、Webページとしての編集のみ行なっています。
文中の注釈やリンク設定は編者によります。
原本は、国会会議録検索システム 参議院会議録 から 第186回国会 国土交通委員会 平成26年06月19日 第23号 で読み出せます。

答弁に立ったのは
 国土交通大臣 太田 昭宏君
 政府参考人 国土交通省鉄道局長 瀧口 敬二君
辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
 まず、リニアについてお聞きします。

 6月の5日、リニア中央新幹線に係る環境影響評価書に対する環境大臣の意見が国交省に提出をされました。
幾つか抜粋をしますと、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高いと。
また、工事の実施に伴う大気汚染、騒音・振動対策等、本事業の実施に伴う環境影響は枚挙にいとまがない。膨大な電力消費についてはどうか。こうあります。
本事業の供用時には現時点で約27万キロワットと試算される大量のエネルギーを必要としているが、現在我が国があらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。
これ、JR東海の評価書に対して厳しい意見が総じて述べられております。

 大臣にお聞きしますけれども、大臣は本委員会で繰り返し、評価書を精査し、環境大臣の意見も勘案し、また、知事からの意見がどのように反映されているかについてもしっかり検証していくと答弁されております。この環境大臣の意見を勘案し評価書をしっかり検証するというならば、このままこの事業を認可することはできないと思いますけれども、どうでしょうか。
国務大臣(太田昭宏君)
 JR東海から環境影響評価書が4月23日に送付されまして、そして、その日に環境省に送付をされ、そして環境影響評価法に基づいて6月5日に環境大臣の意見が国土交通省に提出されたという経過です。

 リニア中央新幹線は、全長約286キロ、南アルプスの長大山岳トンネルや大深度地下トンネル等の大規模な工事が予定されている。そして、今話もありましたが、環境大臣から、大気環境、水環境、水質、地下水、水資源、土壌環境、動物、植物、生態系、人と自然との触れ合い、建設発生土、温室効果ガスなど多岐にわたる環境行政の観点からの詳細な意見をいただいたところです。

 この送付を受けてから90日以内に、環境大臣意見を勘案して国土交通大臣の意見を述べることができると、このようにされております。現在、環境大臣からの意見や、3月下旬に出されました、JR東海に対して出された知事からの意見等について精査をしているところです。

 いずれにしましても、リニア中央新幹線が環境の保全について適正な配慮がなされたものとなるように対応したいというふうに思っております。

注・国土交通省は2014年7月18日に「中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する国土交通大臣意見の送付」を発表しています。
これによるJR東海補正後の環境影響評価書は、2014年8月29日の電子公告により9月29日まで縦覧に供されました。
JR東海からはこの評価書と同時に 中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可申請 が提出されています。従って国土交通大臣は補正された評価書を精査しながら工事認可について検討している段階と理解できます。(2014.09.28 記)

辰已孝太郎君 環境大臣の意見では、本事業は関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施することは不可能であるということまで言っております。評価書が出された後も、首長から意見が全然反映されていないという声が相次いでいるなど、私は全然理解はされていないというふうに思っております。

 もう一つ、これは国交省に確認をしますけれども、このリニアの工事に際して、大井川の流量減少ということが準備書でも指摘をされておりますけれども、この大井川の流量減少があった場合、この環境影響を回避できる工法の提案がJRからなければ施工を許可しないということが国交省から示されたという報道がされております。
不測の事態が生じた場合でも施工の停止を命令できるということも報道されていますけれども、これについては間違いないかどうか、簡潔に。

政府参考人(瀧口敬二君)
 まず、現在アセス法に基づく手続が行われておりますが、それが終了いたしますと、その後は全国新幹線鉄道整備法に基づく工事実施計画の認可という段階に入ります。
この認可をする際につきましては、アセス法の33条の規定に従いまして、環境影響評価手続における意見などで示されました環境保全について適切な配慮がなされるものであるかどうかを審査をするということが書かれておりますので、したがいまして、この工事実施計画の認可につきましてはこの規定に従って判断をしていくということでございます。そういった制度になっているということでございます。

 なお、一旦認可をした上で、実際の工事は一体どうなのかということにつきましては、これは、我々はあくまでも鉄道行政の立場からいたしますと、アセス法で示した意見、そして認可をしたときの考え方に従って、建設主体であるJR東海にそれを実行させるというのがまず第一義でございます。

 したがって、それを大前提として、制度的にどうなっているのかというお尋ねについてお答えをするということで申し上げますと、鉄道事業法の今度は適用を受けることになりますので、鉄道事業法の規定といたしましては、必要により鉄道事業法に基づく事業改善命令により工事の実施方法に関する改善措置を命ずることができるといったような規定がございます。これはあくまで制度上の問題でございます。
辰已孝太郎君 周辺住民の皆さんから大変な懸念の声が出されておりますし、大臣意見でも、最大限これ環境影響を回避、低減するとしても、なお相当な環境負荷が生じることは否めないと、こういうことが記されているわけですから、そもそもこういう事業を認可することをすべきじゃないと私は言っておきたいと思います。

 最後に、大臣に確認をします。

 今、2045年開通予定の名古屋―大阪間をこれ前倒しをするために、建設費用を無利子でJR東海に貸し付けるべきだとか、また、国が先に建設して、後で元本分をJR東海に負担してもらったらどうかなどの声が関係団体や議員から出されておりますけれども、大臣、建設費用は全てJR東海が負担するというのが建設指示の大前提だったと思いますが、これが変わることはありませんね。
注・国土交通省報道資料-2011年5月20日 中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名について
このベースになったのが 平成23(2011)年5月12日開催 第20回中央新幹線小委員会 で審議・決定された 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会「中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定について」答申(案) であった。
PDFファイル p.7 から引用・・・『営業主体及び建設主体については、JR東海が一部の駅の建設費用を除き、自己負担で東京・大阪間の整備を行う意思を表明していることを踏まえ、中央新幹線の事業特性及びJR東海の事業遂行能力の観点から審議を行った。その結果得られた見解は以下のとおりである。』
国務大臣(太田昭宏君)
 リニア中央新幹線の東京―大阪間の同時開業ということに関しまして、大変強い要望が特に関西、大阪から出ていることは承知をしています。

 一方、この事業におきましては、JR東海が民間企業として経営の自由や投資の自主性の確保を貫徹することが大原則との前提の下で、全額自己負担で整備するとの意向を示したことを受けまして建設の指示が行われたということです。
したがって、本件に関しましては、現在の建設主体であるJR東海の考え方をよく踏まえていく必要があると思います。

 なお、東京―大阪間の全線同時開業の要望に関しては、財源や地元の負担など更に検討すべき課題があると思われます。このため、要望している関係者やJR東海等における今後の対応を見守ってまいりたいと、このように考えているところです。
辰已孝太郎君 私は何度も指摘をしてきましたが、やはり税金は投入されない、JR東海が負担するということであるから、国会での審議はほとんどされてこなかったわけです。そもそも過大な需要予測でありますし、JR東海の経営が立ち行かなくなれば国費の投入ということになります。

 私は、この大前提が崩れることになれば、これは国会でもう一回審議をやり直さなければならないと思います。我々は建設に反対ですけれども、国会審議が尽くされるまで大臣には認可を出さないということを強く求めておきたいと思います。

 続いて、踏切事故についてお聞きをいたします。
(以下略)
2014年9月28日 しんぶん赤旗日曜版掲載のリニア新幹線特集から橋山禮治郎さんの記事を引用
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